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初恋Thinging ~要過去編~
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俺と兄は5つ違い。至って仲のいい兄弟だった。
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「にぃ!見て見てっ、カブトムシ!
すっごくおっきいの捕まえたの、」
「おぉっ、…スゲーじゃん要、!」
兄はニコッと笑い、俺の髪を手でクシャっとした。
兄さんの赤茶色の髪の毛が夏の日差しに照らされて、
キラキラと光っていた。
「俺なんてまだ1匹も捕まえられてすら無いのに…」
拗ねたように口を尖らせ、兄がぼやく。
「…じゃあ、これあげる!」
要はさっき捕まえてきたばかりの特大のカブトムシを兄に差し出した。
「…えっ」
兄は一瞬困惑の表情を見せ、いいかのかと尋ねてきた。
そして要がうん、と頷くと、
「ありがとう、要」
と、優しい笑顔で答えた。
「だって、僕鼎にぃのこと、が…」
要は言いかけた言葉を飲み込む。
(…あ、れ?僕は鼎にぃの事が、あれ?…え?え?)
幼かった要はその時、初めて自分の気持ちに気が付いた。
だけど、それを言ったら自分と兄との関係が変わってしまうような気がして、それが嫌で、…
「?どうした?要」
「…あ、なんでもないよ!」
「…そうか、それならいいんだけど、」
これでいいんだ。まだ伝えなくて…
この気持ちは鼎にぃと俺が大きくなった時に伝えよう。
幼きながら、考えに考えた7歳の要が至った結論だった。
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