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信じられない、何もかも…〜要過去編〜
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それから、兄は毎日のように夜遅く出歩くようになった。
俺は気になって仕方がなくて、兄の後をつけることにした。
「どこ行くんだろ…」
兄はクラスメイトの言うように駅の方へ向かったいった。
そしてフードを被った人と会い繁華街の南口の方へ歩いていった。
2人はそのままホテルへと入っていった。
ホテルへと入る時フードを外した人を見て驚いた。
「…嘘、男…?」
その人はどこからどう見ても、男だった。
黒髪の短髪でストレート。かっこよかった。
まさか、兄が言ってた愛してくれてる人ってこの人なの…
それにこの人、俺と同い年だ。俺の所属してるバスケ部の練習試合で見たことがある。
名字は確か────────
〝九ノ瀬〟
何もかも信じたくない…
兄が壊れたことも兄が依存してるのが自分と同い年の男だということも、何もかも。
俺には依存してくれないのかな…
俺はこんなにも大好きなのに、兄はその気持ちに気づいてないようだし、なんで彼女さんと別れたのに俺は告白を、躊躇しちゃったのだろうか。元カノの代わりになりたくなかったからなのかな…。ほんと俺は無駄な高い理想ばっか持ってて、つまんない人間だなとつくづく思う。
そしてふと思う。
彼にも捨てたれたら兄は、どうなってしまうのだろうか…
......................................................
「なぁ、要…頼みごとがあって…その、言いづらいんだけど……お金、貸してくんない?」
学校から帰ってくると兄は最近いつもそればかりだ。
また今日もそうなのかな…
下校途中、そのことばかり考えていた。
最近兄はおかしい。
いや、前から変わり始めたのには気づいていたが、
最近は特に。帰ってきてお金を要求きてきたり、ほとんど学校にも行ってない様だし。オシャレにも気を使わない。
パーカーとTシャツとスエットだけ。あと、家では学校のジャージを使ってたっけ…。夜出かける前はほとんど部屋にこもりっぱなし。
ここ一週間、お金を要求される時以外話してない。
話したいけど話せない…自分の貯金も底をついてしまったこと。毎日のように要求してくるから、お金も無くなってしまった。
「話せば分かってくれるかな…」
そしていつも通り家のドアを開けた。
「ただいまぁ…」
リビングに向かうが、そこに兄の姿は無かった。
「あれ…2階かな」
兄の部屋は扉が開いていた。中を覗いたがそこにも兄は居なかった。家の部屋をくまなく探したがどこにも兄の姿は無かった。
あとは風呂だけか…
家ならばそこしか無い。
要はドアを開けた
「───にぃ、…?ッ!!」
浴室に立ち込める異臭と鉄のような匂いがが鼻をついた。浴槽に張られた湯が深紅に染まっている。
手首から肉が覗いており、湯を染めた赤い液体が手首を伝い、床までも侵食していた。
そして浴槽にもたれかかるようにして倒れ込んでいるそれは紛れもなく、自分の兄だった。
瞳孔が開いていて、動かない。僅かに残る涙の後が死に際と心の苦しさを伝えている。
視界が眩み、突如眩暈と吐き気に襲われる。
ッ!いや、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ!
嫌だ、信じたくないこれは兄じゃないっ!嫌だ…ぁ、
眩暈と涙でぼやけていく兄の屍を前に、
俺はそこで意識を手放した。
それが俺が見た最後の兄の姿だった。
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