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椅子に縛りつけられたまま、彰吾と他のスタッフによって楽屋に連れ戻されるというのは、なんとも間抜けなことだった。
本来なら、縄をほどいて彰吾と共に一礼して、なんならアンコールにも一つくらい応えてショーを終えるはずだった。
目隠ししていたネクタイが外されると、眩しくて目を瞬いた。縄がほどかれていくと、身体中に血が巡る感じがする。
「雅ちゃーん!どうしたの今日は。すんごい、迫真の演技!」
どかどかと楽屋に入ってきたのは、イベント企画者の芹沢だった。
「もー会場中ため息の嵐!BL緊縛、これからもやること決定!彰吾も初イベントとは思えないくらい良かったよー!期待の新星!」
「いや、雅ちゃんが相手だったからっすよ」
違う。今日の俺は酷かったし、彰吾に助けられたのは俺の方だ。
芹沢と彰吾がさっきのショーのことを話している。どうやら会場でBL緊縛のウケを確認するために客に混じって観ていた芹沢が、俺の演技(実際は何も演じていなかったが)を見て、急遽暗転して終わらせるよう指示を出したらしい。
「さっきの余韻がすごいし、次のステージはちょっと遅らせるから。その縄の跡が消える前に、ご挨拶回りしときなね。蓬莱さん来てるから」
「まじっすか!聞いてねぇー」
「蓬莱さん、彰吾なんか見てなかったよ。もう、雅ちゃんにメロメロ。今すぐ彰吾と代わりてぇーって呟いてたし」
「それはそれで、俺の存在って......」
二人の会話を聞き流しながら、俺はゆらりと立ち上がった。うっかりふらついてしまったところを、彰吾が支えてくれる。
「じゃ、俺は先に会場戻るから」
そう言って芹沢が出ていくと、楽屋は俺と彰吾の二人だけになった。
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