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「あ、やっと出てきた」
騒がしい会場に入ってすぐ、蓬莱さんに声をかけられた。蓬莱さんの隣には父がいて、「大丈夫か?」という視線を送ってきたが、何も答えず蓬莱さんに向き直る。
「こんばんは」
俺は意識的ににっこりと笑って、蓬莱さんの首に腕をからめ、キスをした。
「たまらんなぁ。このまま今すぐ抱きたいくらいだけど......ウチの彰吾はそんなにイイかい?」
すぅっと腰を撫でられて、まだセックスの余韻の残る後ろに指先が触れた。
「思いっきり雄のニオイさせちゃって」
「ぁ......」
「そ、俺たち相性抜群なんです、先生」
蓬莱さんの手を払いのけるように、今度は後ろから彰吾に抱きすくめられた。
「雅を抱きたいから縛りを教えてくれ、なんて俺に言ってきたやつ初めてだったよ。バカかと思ったけど、このバカどうやら本気で雅君に惚れてるみたいでさー。筋は悪くないからさ、これからもよろしくしてやってね」
「蓬莱さんのお弟子さんだから仕方ないけど、俺、蓬莱さんとの方がいいなぁ」
猫なで声で蓬莱さんの目を見つめると、蓬莱さんは俺の手を取り、爪の先を噛んだ。
「んっ......」
「君はほんと、男を煽るのが上手いよね......戯れ言と分かっていても、ついその甘い誘惑にのせられてしまう」
「戯れ言だなんてひどいなあ。俺、蓬莱さん大好きなのに」
「おい雅、俺に何か言うことはないのか」
彰吾に抱きつかれながら、蓬莱さんに指先を噛まれ......その後ろから、父がムッとした顔で言った。
「なんだ、東雲さんもいたの」
俺とこの人が親子なのはほぼ周知の事実ではあるが、仕事中は名字で呼ぶことにしている。
「なんだとはなんだ。まったくどいつもこいつも雅に絆されやがって。俺の雅だ。こいつに触りたきゃ俺の許可取ってからにしろ」
「何が『俺の』、なの。東雲さんのモノになったつもりなんてないけど」
「だ、そうですよ、『お父さん』」
どれもこれも言葉遊びだ。父、蓬莱さん、彰吾の三人に囲まれて、たわいもないやり取りを交わしながら徐々に愛撫が激しくなってくる。後ろから彰吾に胸をまさぐられ、右手は蓬莱さんにくまなく舐められ、父には下腹部を撫でられながらキスされる。そしてさらに、そんな俺たちに気づいた周囲の視線が集まってくる。
異様な空間と止めどない快感。この瞬間、ようやっと俺は息をつけるのだ。何も考えなくていい。快楽に身を委ね、非現実的な世界を揺らめく存在になる。
天井のミラーボールのきらめきに目眩がしそうになったとき、しかし俺はまた、見つけてしまったのだ。
愕然とした表情の、最愛の弟の姿を......
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