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「彰吾、ごめん」
彰吾が買ってきてくれたコンビニの弁当は、ほとんど中身が減らないまま、いっそう冷えて固まっていった。
「どうしたの、雅ちゃん」
「俺、迷惑かけてるよね......」
「何言ってんの。コイビトだったら、迷惑かけてナンボでしょ」
彰吾と暮らし始めて半月が経った。
まだ涙は枯れないが、いくらかましにはなった。
彰吾には、龍弥のことは何も話していない。彰吾は何も聞かないし、俺は彰吾の優しさにずっと甘えていた。
「彰吾は、俺といてしんどくない?」
「全然。むしろ毎日雅ちゃんと過ごせて最高に幸せだけど?」
にこりと微笑む彰吾に、俺も少しだけ微笑み返す。
「ほんとに好きなんだ......たとえ雅ちゃんが他の誰かを忘れられなくても、それでも俺はもう、離してあげられない。俺が守ってあげるから、一生俺の檻の中にいてよ」
まっすぐな瞳。こんな風に愛されるのは初めてで、ドキドキする。
「それって、プロポーズ?」
「うん。ねぇ、イエスってこたえてよ」
一番好きな人とは結ばれないけれど、一番好きでいてくれる人と結ばれるなら、それでもいいのかもしれない。
テーブルの上の弁当を押し退けて身を乗り出し、彰吾に口づけた。
「雅ちゃん......」
「誰が、檻の中に閉じ込められるもんか」
ガリッと口の端を噛む。
「......っ」
滲んだ血を舐めて、そのまま舌を滑り込ませてキスをする。
「ん......」
「雅......」
「ヘタクソなキス」
「え」
「ヘタクソなキス、って言ったの。こんなので俺が満足すると思うなよ」
「はは、厳しいなあ......」
素直に甘えればいいのに、と思うけれど、どこかで抵抗したい自分がいる。
愛されるより愛したい?
龍弥を愛したことは、けして幸福なんかじゃなかったけれど、まだ、愛してる。こんなにも彰吾に愛されてもなお、俺の心は龍弥を求めて足掻いている。
「素直でしおらしい雅ちゃんも可愛いけど、やっぱり女王様ぶってる雅ちゃんが色っぽくて好きだよ」
彰吾は俺の全てをお見通しのようだった。それが少し憎らしくて、やっぱり居心地がよくて、でも何だか申し訳なくて......そしていつも通り、全ての感情を冷たい笑みの下に隠すのだった。
「アンタMなの?」
「雅ちゃん限定でね」
どうして、彰吾は俺なんかを好きなんだろう。
俺の表面上の性格と、顔とカラダが好きだと言うやつはいっぱいいるけど。
「ねぇ」
素直になんか、なれないけど
「抱かせてあげる」
彰吾ならわかるでしょ
「うん」
このカラダで、伝えるから
ありがと。
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