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あのショーの最中から、雅の様子がおかしいことくらいすぐに気づいた。雅の視線の先にいた人物が問題だということも、その相手に想いを寄せているということも。
やけくそで俺と付き合おうと言ってきたことを、雅は後悔しているだろうか。でも、俺にとっては願ってもない幸運だった。どんな形であれ、雅を手に入れられた。雅を笑顔にさせるのは、これからだっていい。雅の想いを受け入れられないヤツのことなんて、俺がきれいさっぱり忘れさせてやる。
イベント後、速攻で家に連れ込んでめちゃくちゃに抱いた。自棄になった雅は声が枯れるほどに喘ぎ、怖いくらいに美しく乱れ、そして泣きながら意識を手放した。
すっかり日が上り、雅の身体を清めながらその寝顔を見ていた時だった。突然携帯が鳴り響き、せっかく眠りについた雅が起きては可哀想だと、画面を見ずに電話を取った。相手は、東雲さんだった。
『あぁ、悪いね、こんな時間に』
『いえ......あの、お疲れ様です』
『うん、お疲れ。ところで、雅いる?』
『あ、今寝てますけど、起こしますか?』
『いや、いい。......雅、何か言ってたか?』
『いえ、特には、何も』
『だろうな。......俺が言うのもどうかと思うんだが、父親のお節介と思って聞いてくれるか』
『......はい』
東雲さんから聞かされたのは、雅の想いを寄せる人物についてだった。そいつのために心を病ませて、現実から目を背けるためにこんな仕事をしているのだと。そして......
『龍弥というのは......実の弟なんだ、雅の』
その一言を聞いて、俺は驚いてしまった。男同士で受け入れられずに失恋したとかと思っていたが、まさか相手が実の兄弟だとは想像していなかった。
『俺が悪いんだよ......母親を亡くしたばかりの子供のフォローもできず、現実から目を背け続けて仕事に没頭して、親らしいことを何もしなかった......それでも雅は弟を守るために、全身全霊で愛を尽くして、自分自身は愛に餓えて......そんな雅を、守るではなく俺の道連れにしてしまった』
東雲さんの話を聞きながら、眠り続ける雅の頬を撫でた。閉ざされた瞼から、雫が一粒こぼれ落ちた。
『雅を守ってやってくれ。おまえがどれ程雅に惚れ込んでるかは、蓬莱さんから聞いたよ......俺はしばらく地方での仕事が重なってるから東京を離れるけど......あぁ、そうだ、俺が今言ったことは、雅には黙っておいてくれ。あいつは、弟の存在を知られるのを何よりも恐れている。汚れた自分なんかが兄だと知れたら龍弥が可哀想だ......ってな』
雅の、深い闇。22年間、弟を愛し続けてきたならば、これから22年かけて、俺が雅を愛していこう。必ず救いだしてみせる。心からの笑顔を見る日を夢みて、俺は、今夜もその折れそうに細い身体を抱く。
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