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「だーっ!誰だよこんな夜中に空気の読めねーやつは!」
苛立たしげに、ベッドサイドのコンセントに繋いでいた二つの充電器を手繰り寄せた彰吾は、画面を見て一瞬ためらいを見せた。
「誰?」
数回のコールで留守番電話に切り替わるように設定してあったが、切れても切れてもしつこく掛かってくるスマホを受け取ると、俺も思わず顔をしかめた。
「父さん......」
「そ。そんで、俺の方は蓬莱センセ」
二人が別々の場所からタイミングよく俺達に電話してくるとは思えないし、鳴り止まない当たり何か企んでいるのだろう。
「電源切ってやろうかな」
「や、ごめん......俺、先生の電話は絶対なんだよ......出なかったら後で何言われるか」
「セックスしてました、でいいんじゃないの」
「おまえ、蓬莱先生の怖さ知らねぇだろ......」
俺にとっての蓬莱さんは、どちらかといえばかなり優しい部類の緊縛師だが......彰吾の怯えかたからすると、どうやら弟子には相当手厳しい人のようだ。まぁ、あれだけ勃ち上がってたモノもすっかり萎えてしまってるし、セックスは諦めて俺も電話に出ることにした。
「うるさい」
『おまえ、久しぶりの父親からの電話の最初の一声がそれって酷くないか?』
そういえば、あのイベント以来父さんとは電話ひとつやり取りしてなかったことを思い出す。
「だからって何。これからイイとこだったんだけど」
『成宮と?』
「誰だっていいでしょ」
『そろそろ俺のところに戻ってこいよ。俺が一番おまえのこと知り尽くしてるんだから』
「少なくとも父さんよりは彰吾の方がいいかな」
『おまえ、ほんと可愛くないよな』
「で、何の用?」
チラ、と彰吾を窺うと、珍しくピシッと背筋を伸ばして真剣な顔で電話していた。その横顔が、少しかっこいいなんて思ってしまったりして。
『仕事。だいぶ休養して、そのテンションならそろそろいけるだろ』
「いける、けど」
『俺が雅の仕事止めといてやってたんだよ。でも、いい加減芹沢とか色々煩くてな』
「うそ......」
仕事は、直接俺宛にメールや電話が来ることもあるが、父を介してくるものも多い。これでもメールチェックはしていたが、最近パタッと途絶えていて少し不思議には思っていたのだが......
『ちょっとは俺にも感謝しろよ。その様子だと、成宮とうまくいってるみたいだな』
「うん......父さん」
『ん?』
「......ありがと」
『おう。家に帰ってこいとは言わんが、たまには俺にも顔見せろよ。これでも心配してるんだから』
「ん......」
『あと、そろそろ雅抱かないとフラストレーション溜まる』
「何バカ言ってんの......もうすぐ50なんだからそろそろ枯れたら」
『残念ながらそこらの中年とは違うからな』
「知ってる」
『雅』
「なに」
『抱きたい』
息子相手に何甘ったるい声出してるんだろう。この声で、きっと何人もの女を落としてきたんだろう。父だと分かっていてもなお、腰にくる低い声。何度も愛された最奥が疼いてくる。
「俺も。博之に抱かれたい」
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