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64【Shogo】
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雅は可愛い。
女王様ぶってて、もっと気高くてわがままかと思っていたが、実際はそんなことなかった。いや、確かに女王様然としたところはあるけれど、どちらかというとそれは作り物なんじゃないかと思う。
勝手に振る舞っているように見えても、ものすごく俺にも気を使ってくれている。狭いワンルームでも、俺に配慮した上で掃除したり片づけたりして極力自分のものを広げない。エロ本こそ捨てられたが(まぁ安っぽい雑誌でゴミみたいだったから問題ない)、勝手に俺の持ち物には触れないし、何より何一つ文句を言わない。
狭いだの汚ないだのと言ってみたりもしてるけど、それが本気じゃないことくらいわかっている。もっとわがままな女をいっぱい見てきた。雅のは、うまく自分の本心を出せずに、強がってツンツンしてるだけなのが手に取るようにわかる。それがまた愛しくて、うんと優しくしてやりたくなるんだ。
狭いワンルームには安物の固いシングルベッドしかない。雅は堂々とベッドに寝転ぶわりに、俺が布団に入れば落ちるギリギリまで端っこに寄ったり。かと思えば、すっかり寝付いた頃には必ず俺の腕に抱きついて、小さい子供のように身体を丸めている。
今もそうだ。セックスの後疲れて眠った雅の身体を綺麗にしてから自分も布団に入れば、すぐに抱きついてきて、肩に頭をくっつけて小さな寝息をたてている。その顔は女王様というよりもあどけない少女のようで、こんなにも安心しきった顔で俺の傍で眠ってくれることが嬉しくてたまらなかった。
抱きつかれている腕をスッと抜けば、一瞬悲しそうな顔をして手を彷徨わせ、俺の胸元を何度か撫でてその場に落ち着いた。腕を回して抱きしめるようにすると、ホッと安心したように再び穏やかな顔に戻って、肩口に頬っぺたをすりつけてくるのが可愛かった。
「ん......しょ......ご......」
「んっ?」
むにゃむにゃと口を動かして言葉にならないことを呟いている。あの、毒舌激しいクールビューティーな雅から、こんなに可愛い寝言が聞けるなんて。
「雅ちゃん、大好きだよ」
「ん......おれ......も......」
額にひとつキスを落とせば、眠りながらもふわりと柔らかく微笑む。
本当に、雅ちゃんは可愛い。
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