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着替えて帰ろうとスタジオを出たところで、レイに遭遇した。
「お疲れ様です」
何事もなかったかのように振る舞ってみたが、レイに腕を捕まれ足止めされてしまった。
「......何か?」
「さっきの、プロデューサーとの......」
誰にも見られていなかったと思ったのだけど。まあ、俺にとっては別に見られていようが何の問題もない。あれが、俺の本来の姿なのだから。
「恋人、いるんでしょ?」
「だから?」
「普通、恋人いるのに、他の人とそういうことしたり、ぼっ、僕のことだって」
「まだキスしたこと気にしてるの?いいじゃん、プロデューサーがOK出したんだから」
「でも」
「抱いてあげるよ」
「......っ」
「セックスはいいよ。嫌なこと全部忘れられる。俺、バリネコだけど、たぶんアンタなら抱けるよ」
「僕は、僕は誰にも抱かれない......っ。僕は、葵だけのもの、だから」
「それって元カレ?じゃあ、一生一人で寂しく恋愛ゴッコしてなよ」
レイを見てると、なぜだか無性にイライラした。レイの純真さが憎らしくて、傷つける言葉ばかり出てしまう。
「もう二度と会うことないだろうから安心しなよ。じゃあね」
涙を堪えるレイの横を通りすぎたとき、俺もまた、涙を堪えていた。
俺は、抱かれなければ生きてこれなかった。寂しかった。孤独に耐えることができなかった。孤独であることが美徳だと思うわけではないけれど、レイと比べると自分が酷く汚い人間に思えて、悔しかった。
「彰吾......」
優しい温もりが恋しくて、無意識に彼の名前を呼んでいたのだった。
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