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冷たいコンクリートの床
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逃げる場所なんてものはないのに
俺は部屋の隅へかけ出した
…が、尻尾を掴まれ勢い良く
引き戻される。そして男の人は尻尾を
掴んでいた手を鎖に持ち替え、
ぐいっと一気に彼の顔の前まで
寄せられた
「っ……」
この距離だと目を逸らすこともできず、
彼の鋭い目つきが刺さる。
そして俺の顔面に大きな拳が
ぶちまけられた。
バランスを崩し、そのまままた
冷たいコンクリートに叩きつけられる。
途端、口の中に鉄の味が広がる。
…ああ、切れちゃったかな。
「分かる?こんな事になるのって
お前のせいなんだよ?」
頬のじんじんとした痛みで
その言葉を聞いている事しかできない。
それが気に食わなかったのか
次は俺のお腹に蹴りを入れる
「うっ……」
「お前が客に上手く対応しねぇと
そいつに謝罪すんのは俺なんだよ」
言葉にならない呻き声が口から漏れ、
呪文のように俺は言い続ける
「ごめ…なさぃ…ごめん…なさいっ…」
謝っても謝っても彼は力の篭った手を、
足を止めてはくれなかった。
…そして次第に瞼が重くなっていく。
それと同時に目からはぽろぽろと涙が
頬を伝って地面に真っ黒な染みを作る。
また意識飛んじゃうのかな。
真っ暗な何もない世界に。
でもその方がマシなのかもしれない。
この痛みも感じなくなるから。
…独りぼっちは…辛いけど。
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