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犬子が二匹 【瑛斗 Side】
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─朝、肩をツンツンと
さされる感覚に目を覚ます。
起きて一番最初に視界に入ったのは、俺を覗き込む
ちょっと寝ぐせの立った翠だった。
「ん、おはよ」
「おは、よう…」
一言だけなのに翠はそう返すと
照れてしまい薄く微笑んだ。朝から気分が良くなる。
そんな可愛い顔を見ていると、続けて話しだした。
「きょう…明日になったよっ。
あの子のところ、行く日なの…」
翠の言いたいことは分かる。
そう、昨日翠と同じ、犬子の子が目を覚ました
と一樹から連絡があった。それを聞いて翠は当然
今すぐ会いに行きたいと言っていたが、一樹曰く
目を覚ましたばかりだからその子がすぐに誰かと
話せる状態じゃないと言う。だから明日来てほしい。
…という事で一日経った今に至る。
「ちゃんと行くよ。ちょっと待ってな」
俺は時間を確認すべく携帯を見る。
…?
寝起きで目がぼけたのかと思い、もう一度
目のピントを合わせ携帯の画面を見返す。
うん、間違いない。現在の時刻―05:13
嘘だろ?俺は笑ってため息をつく。
「翠、あの子んとこに行くには
まだ時間が早すぎるぞ?」
「でもっ、待ってるかも、しれない…」
翠があからさまに落ち込む。
「この時間じゃ一樹もあの子も起きてないだろ。
だからまだ寝てような?いい時間になったら
ちゃんと起こすから」
「えいとさん…一人で行っちゃったり、しない…?」
翠は本当に心配性だな。そんな心配することないのに。
「そんなことしないよ。
ていうか、翠が一番行きたいんだろ?」
「行きたい……から、寝るっ…」
そう言って翠は布団にもぞもぞと潜り込み、
小さくおやすみなさいと呟き目を瞑る。
俺も流石にこの時間帯は眠くて翠に
続くようにして目を閉じた。すると
すぐに翠の小さな寝息が聞こえてきた。
なんだ。翠も眠かったのかよ。
それなのに頑張って早い時間に起きて
病院に行こうとした翠の必死さにふっと
笑みがこぼれる。でもそんな翠、好きだな。
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