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午後だけの留守番
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「で、何しに来たの」
玄関に招くなり早速問う。
「お前を一人にするのはやっぱり
心配なんだってさ。んで頼まれた」
何かそんな感じかと薄々思っていたが、普通に図星。
なんでこう…色々と細く心配してくるのだろう。
一樹のことを思い浮かべて、思わず溜息が漏れる。
「…。別にいいのに」
「まぁ、一樹は心配性っぽいからな。
俺らは頼まれて来ただけだし、そう怒んなよ」
「怒ってないし」
つい癖で瑛斗を睨むと、その後ろから
ひょこっと翠が体を傾けて出てきた。そうだ、
二人共玄関で立ちっぱなしというのも悪い。
「…トイレはそこ」
俺は指差しながらそれだけを伝えリビングに
戻ることにした。もう、今更追い返せないし。
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二人が家に来たからって特に変化もなく、
俺は面白くもないテレビをただぼーっと眺める。
「…さよくん」
すると翠が隣から声をかけてきた。瑛斗は
というとイスに座りパソコンと向き合っているし、
話し相手がいなくて暇になったのかな。
「もうお腹…大丈夫、なの…?」
「お腹?」
なんだろう、夕食の事だろうか。
それなら一樹が作った物が冷蔵庫にあるのだが。
すると翠が更に眉を八の字にさせ、怪我...と呟いた。
「あ、うん。痛み止めとか貰ってるし」
「良かった…」
翠は頰を綻ばせ、肩の力を抜いた。
今言った通り最近は腹痛もあまり気にならなく
なったし、まだ翠がこの怪我の事を心配していた
なんて、性格が出ているなと思う。
「翠は大丈夫?」
「お、おれっ…?」
自分のことを聞いてくると思わなかったのか
翠は少々戸惑いを見せるが直ぐに、うんと返事をした。
「今、すごく幸せ…だから」
そう言った途端、瑛斗をちらりと一瞬見てはにかむ。
幸せ…なんだ。
きっと翠だって過去に色々
散々な目にあった筈なのに。
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