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気づくこと
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「僕はっ…」
気付いたら口出していて。
こうなってしまったら、
もう先を話すことしかできない。
何で、僕は勝手にこんなことを…
「…誰かから殴られたりすることは、
前からあって…でも大丈夫、だから…」
絶対に言いたくなかったのに。
言ってはいけなかったのに。
そう思っていた筈なのに、心の奥底の僕が
助けを求めてるってこと?そんなの…止めてよ。
自分なんて、大嫌いだ。
…ほらね、秋はまた悲しそうな顔をする。
「ごめん…ごめん、なさいっ…」
最低だ。秋にこんな顔をさせて、僕みたいに
巻き込まれてしまうかもしれないことを言って、
迷惑ばっかり。
今まで暴力をされてきた理由が分かった気がした。
見た目だけじゃないんだ。きっと中身も最低だから。
そうだ、きっとそうなんだ。
僕は理解したと思うと、突然視界がぼやけた。
なに…僕、目が見えなくなるの?
……いやだ。
この突然の出来事への不安と、秋に対する申し訳無さ
の気持ちが重なり合って、身体が微かに震えだしたと
感じると、何か温かいものに包まれた。
「っ…あ、き…?」
それが秋に抱きしめられていたと気付いたのは、
少し経ってから。
「話してくれてありがとう。俺、嬉しいよ」
「っ、…っ…」
秋は分かっていない。これを聞いたところで酷い目に
遭わされるかもしれないことを。嬉しいと言ったその
声が、いつもよりすごく近距離で響いた。
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