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#1
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「一人で…えーと、三番の子が良いね。空いてる?」
「あー、はい、オプションは?」
「無しで良いよ」
「ノーマルプレイは一晩二万、中出しはプラス一万。フェラその他は要相談です」
「ほう、なかなか安いね。やっぱりオプション付けようかな…あぁ、まぁ、今度で良いか…ほら」
分厚いガラスの向こうに出した引き出しに、でっぷりと太った客が札を二枚入れる。
がらっ、と不愉快な音をさせてそれを引き、一万円札を二枚、確認した。
「丁度ですね。毎度。じゃあこれ部屋の鍵なんで、開けて入って待っててください」
「成程、そういう形式なんだね。シャワーでも浴びて待ってるとするよ」
「ごゆっくりどうそ」
鍵を引き出しに入れ、再び向こうへ押し戻す。
早くも興奮し始めたのか、そのデブは碌に挨拶もせずにエレベーターへと向かっていた。
その背中を見て、一言呟く。
「…きも」
——〈ホットチョコレート〉
某国随一の歓楽街にあり、しかしその存在を知る者は少ないとある娼館。
俺がここの受付として働きだしたのは、大体二年くらい前の事だったと思う。
当時家を出て碌に働きもせずにプラプラと路上生活を送っていた俺は、割高な給与が記された求人広告にいとも容易く飛びついた。
履歴書は特に必要ないとの事だったので、すぐに電話を掛けて、面接へとこぎつけた。
「名前は?」
大柄な、いかにも、といった雰囲気の男が不愛想にそう聞いてくる。
「シセルです」
「お綺麗な名前だな。どのくらい出てこれる?」
名前を笑われムッとしても良い場面ではあったかもしれないが、正直その男の雰囲気にのまれていた俺は、質問に答えるだけで精いっぱいだった。
「い、いつでも。仕事、とかしてないんで」
「ほう、そいつぁ都合がいい。じゃあ後は・・・ん、質問は以上だ。ここまでは合格」
「あ、え?ここまでって、どういう意味ですか?」
つい、そんな質問が口をついて出た。
怒らせるのではないかと一瞬身構えたが、予想に反して男は嬉しそうに笑い、黄ばんだ歯を見せて言う。
「中々良い度胸してんじゃねぇか。テストだよ、テスト。まぁお前は黙って見てるだけで良い。もし我慢できなくなったら出てけ、その時点で不採用だ。良いな?」
「我慢?…まぁ、はい。分かりました」
何となく不穏な物を感じはしたが、見て居れば良いという事は俺自身が痛い目に遭ったりすることは少なくともない気がしたので、大人しく頷いた。
「上等。おい!始めるぞ!」
男が扉を開けそう叫ぶと、数人の物と思われる足音と、きゅるきゅるという車輪が回る音が近づいて来る。
何だ、何が始まるんだ?
好奇心半分、不安半分で扉を凝視していると、黒スーツの男を先頭として数人の男、それからその中心に、小さい女の子。
一人だけ裸足で、スーツの代わりにローブのような布を羽織っている。
と、少しだけその姿に注目していると、扉から何やら大掛かりなものが運び込まれていた。
車輪がついているそれを完全に部屋に入れると、何やらガチャガチャと組み立て…あ、ベッドか?簡易的な、移動式の。
「・・・よし。乗れ」
「・・・は、ぃ」
がっ
突如、男の拳が少女の頭に振り下ろされた。
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