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#13
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普段ならば別に好きにしろと投げ打つところなのだが、流石に仕事に支障が出そうに感じたので、一応釘を刺しておく。
「お前らな、これ以上邪魔すんならもう居ないものとして扱うから」
「え?…何、どういう事それ」
「目を合わせない、会話をしない、触らない。物として扱う」
「ぃ、ぁ、や、やだ、やだ、シセル、ゃ、やだ」
「なら、控えろ。良いな」
「…んん」
いつものような余裕が無く、視線が落ち着かない、エネ。
言葉を紡ごうともせず、既に涙を零し始めた、リコ。
いつもなら薄ら笑いを浮かべているのに、少しだけ引き攣った表情の、ノイ。
少し、甘やかしすぎていたかもしれない。
「もういいか。ん、行くぞ」
「ぇ?あ、は、はい」
まともな返事を待たず、俺はその新人とシャワー室を後にしたのだった。
「…ん、ご苦労。で?何のオプション?」
「首絞め―SM系統ですね。一応道すがら確認しましたけど、やっぱり今日の客にそのオプション取ってたやつは一人も居ないです」
「そうか。おい、具体的に話せ」
「あ、すいません。その前にこれ、客の資料なんですけど」
「あん?…ちっ、Sクラスかよ」
「はい。隣の国の法王の側近らしいです」
「あー、思い出したわ。あの馬みてぇな顔してる奴か。んで?詳細は?」
先程の三人からの脅しがよほど効いているのか、未だに軽く震え続けている子の肩を叩く。
「え、あ、ぇ、ぇと、最初は、初めてです、て、言って。それで、普通に、してて、もう出そうとか、ぇと、確かそう言う事言った後に、いきなり、ぎゅうって、締められ、ました」
「…あ?ちょっと待て、中出し?」
「なか、だし?」
「ケツの中に出されたのかって事。顔に掛けられたりしたか?」
これは予想以上に厄介な客かもしれないと、その時点でうっすらそう感じた。
「ぇ、と…ご、めんなさい、僕、ぇと、あ、あんまり」「あ、中ですね。すいません今思い出しました。俺後始末でシャワーしてましたけど、中にも出されてました」
「って事は何、空オプと無許可?ふざけてんなぁおい」
ガキャンッ!
社長が持っていたバインダーを、新調したばかりの机に叩きつける。
「Sクラスだろうが関係ねぇ。次来たら殺す」
しかしいくばくかの冷静さは残っていたようで、こちらから攻撃には出ないらしい。
「シセル」
「はい」
「次、こいつが来たら、三人の内の誰かを付けろ」
三人、というのはリコ、エネ、ノイ、の三人の事で、基本的に商品の名前を呼ばない社長は、特にこの三人の事をまとめてそう呼んでいた。
「それは良いですけど、来ますかね」
「来る。見て見ろお前、こいつ二日に一回だぞ」
社長が示した日付を見ると、確かにその頻度で来ていた。
「あー、そっすね。んじゃ、来たら社長に報告入れて、後はお任せしても?」
「担当する奴にも話しとけ、『血祭開催』つったら分かるからよ」
何とも物騒なことで。
「わかりました。それじゃあ、こいつの後始末まだ途中なんで、失礼します」
「おう」
軽く会釈をして、新人の手を引き部屋を出る。
「はぁ、面倒な事になって来たな」
「ぁ、す、すいません」
「馬鹿。謝られても困る。
まぁお前もな、一応事前にプレイの内容伝えてんだから、おかしいと思ったら人呼ぶなりなんなりしろ。別にそれで怒られたりしねぇから」
「ぁ、ぅ、す、すいません。緊張して、考えて無かったです」
「それはお前が馬鹿。次から気を付けろよ、分かった?」
「はい。ぁ」
「ん?…はぁ」
か細く零れた言葉に反応すると、視線の先には
「何、何か用?三人そろって」
何とも形容し難い表情を浮かべた、いつもの三人がいた。
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