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#19
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「…シセル」
「よお、何、してんだ」
「…んん」
「意味、わかんね。はぁ、どけ」
「…やだ」
ノイが大きく腕を広げ、分かりやすく『通しません』の姿勢を取る。
「やだじゃねぇよ馬鹿。どけってば、俺だって殴りたかねぇんだよ、いてぇし」
「…誰を?」
「お前ら以外に、誰がいんだよ」
「…シセル、かな」
「は?」
ぺたぺたとノイが足音をさせて目の前へと迫る。
発言からして殴られると思ったのだが、予想に反してノイは正面から抱き着いて来た。
「…シセル、悪い子」
「だから、意味が分からん。おら、放せ」
「…やだ」
「やだじゃ無くて…ったく、悪く思うなよ、っと、は?くっそ、おま、どんな馬鹿力してんだ
よっ!くっそ、全然外れねぇし」
万力の様にぎゅうぎゅうとノイが抱き着いて、放そうとしてもまるで麻縄で縛られているかのように一向に外れる気配が無い。
そして、もう一つの足音と、聞き覚えのある車輪の音が、俺の背後から迫ってきていた。
「…し、せる」
「はぁ、はぁ、くっそ、あん?…リコ」
「シセル、覚え、てる?これ」
ガチャガチャと、子供たちがリコの指示の元ベッドを組み立て、リコがこちらに歩み寄る。
「僕、と、初めて、ぁ、ぇと、僕、が、だね、僕が、始めて、シセルと、あった日、このベッドで、いっぱい、いっぱい、痛い事、してた。シセル、それ、見てた、ね?」
「…それが、どうした」
「お、覚えてた、ね、ふふ、やった。ぇ、とね、それ、で、今から、ぁ、ぇと、うんと」
説明が難しいのか、リコが頭を抱えて唸りだす。
「しょうがないなぁ」
ふと、何となく予想していた声が聞こえた。
「結局お前ら三人か」
「さっきも思ったけど、もう声聞いただけで分かるんだ。嬉しいな」
場違いな程に優しく微笑んだエネは、リコの頭をポンポンと撫でて、ベッドに腰掛けた。
「とりあえず現状説明と、僕らの計画について説明するね」
「もうしなくて良い。俺を解放しろ、すぐに消えてやるから」
どうせ別にこの店に愛着なんか無かった。
偶々見つけた求人広告に飛びついた店が、偶々繁盛しただけ。
ここまでややこしくてめんどくさそうな状況になってまで、居つく理由はない。
しかし、心の声を聞いたかのように、エネは人差し指を立てて説明を始めた。
「あのね、僕らの最重要目標はシセルなの。分かる?」
「…知るか」
「僕も、リコも、ノイも、皆シセルの事大好きになっちゃってさ、でもシセル言ったよね?
仕事の邪魔すんな、とか、仕事だからやってるだけだ、とか。
あれ…凄いむかつくんだよね」
「…し、知るか」
およそ見た事が無いくらい表情の抜け落ちたエネに、言いようのない悪寒が走った。
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