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よつばの不思議な色の目が美咲を捉えてガタガタと震え出す。
美咲の後ろに立っていた俺を見つけるとこんどはボロボロ涙を零しながら両手を目一杯伸ばしてきた。
その腕を取り抱き上げると今までにないくらいの力で抱きつかれる。
「大丈夫、落ち着けよつば。びっくりしたよな、ごめんな?」
背中をトントンと叩きながら抱きしめ返すと震えが徐々に収まってきた。
「こいつは俺の友達で、お医者さんなんだ。よつばの怪我を治しに来てくれたんだぞ?」
落ち着き始めたところで優しく声をかけると胸に顔を埋めていたよつばが顔を上げる。
そうなの?とでも言いたげな顔で俺を見つめ、チラッと後ろの美咲を見てペコッとお辞儀をすると、隠れるように俺の胸に顔を埋めた。
「ちゃんとご挨拶できて偉いね。はじめまして、僕は芦屋美咲。君のお名前教えてくれるかな?」
穏やかに笑う美咲の声はとても安心感がある。さすがだ。
よつばはびくびくしながら俺を見上げる。
きっと喋れないからどうすればいいか分からないのだろう。
すると美咲が鞄から何かを取り出しそれをよつばにすっと差し出す。
「櫻から聞いてるよ。これで僕とお話しない?ゆっくりでいいよ。」
安心する笑顔で美咲が差し出してきたのは子どもがよく使っているらくがき帳と水色のえんぴつだった。
にこにこと優しい声を出す美咲は怖い人じゃないと認識したのかよつばがそれを受け取る。
抱かれたままだと書きにくそうなので下ろしてやると、さっそく床にらくがき帳を広げて書き始めた。
美咲も床に座りにこにことそれを見ている。
『よつばです』
「へぇ〜、珍しい名前だね。」
美咲が他愛もない質問をして、それによつばが答えていく。
答え一つ一つに美咲がオーバーなくらいに反応するが、よつばはそれが嬉しいようで時々頬を引き攣らせながら笑う。
それが何だか可愛くて、ベッドに腰掛けながら俺もいつの間にか笑っていた。
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