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45 よつばside
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お母さんに首を絞められる夢を見た。
すごくすごく苦しかった。
でも、櫻さんが助けてくれた。
起きた時知らない男の人が僕の体を見ていてびっくりして泣いちゃったけど、その人も櫻さんが呼んでくれたお医者さんだった。
櫻さんのお友達ならきっと悪い人じゃないし、僕のお話をニコニコしながら聞いてくれるとってもいい人だった。
みさき先生がくれたお薬を飲んだら頭がふわふわして眠くなって、でも僕はまだお話したいことがたくさんあって
やだやだって手を伸ばすけど、みさき先生も櫻さんもおやすみって言うから、僕は諦めて寝ちゃったんだ。
「あ、おはよぉ、よつばくん」
ゆっくり目を開くと寝る前と同じ場所にみさき先生がいて、ニコニコしながらおはようって言う。
僕もおはようって返すけど、ただ口がお魚さんみたいにぱくぱくするだけだった。
「うんうん、よつばくんは挨拶がしっかりできて偉いねぇ」
そう言ってみさき先生は僕の頭を優しく撫でる。
口をぱくぱくしてるだけで、ちゃんとおはようを返せてないのに、みさき先生は褒めてくれる。
どうしてだろう。
櫻さんとみさき先生はこんなに優しくしてくれるのに、僕はちゃんとありがとうって言うこともできない。
なのに、2人は僕に優しくて。
ちゃんと、ありがとうって伝えたい。
らくがき帳じゃなくて、お口でお話したい。
枕元に置いてあった昨日のらくがき帳を開いて、寝起きでまだ力が入りにくい手を一生懸命動かして文字を書く。
『ぼくのこえはどうやったらでますか?』
「うーん、声かぁ、そうだなぁ」
みさき先生が顎に手を当ててうーんって唸る。
「そうだ、何かよつばくんにとって特別な、刺激的な事が起きたら、出るようになるかもしれないね」
みさき先生は笑いながらそう言った。
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