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朝飯が出来上がりそうな頃、美咲がリビングに入ってきたかと思うとその手はよつばと繋がれていて、寝癖のついた小さな頭が見えた。
「あれ、よつばも起きたのか」
てっきり起きてこないもんだと思ってた。
よつばは俺の前にてこてこ寄ってくるとぺこっとお辞儀をする。
あぁ、これは…
「おはよう、よつば。ちゃんと眠れたか?」
はねている髪を撫でつけながら聞くとこくこくと頷いて嬉しそうに頬を引き攣らせた。
「良かった。あ、お前の分作ってねぇからちょっと座って待ってろ。」
右手をぴっと挙げたよつばはリビングの隅に移動してぺたんと床に座り込んだ。
当たり前のようにされた行動。
よつばにとっては当たり前だった行動も俺にとっては当たり前じゃない。
声をかけようと足を踏み出すけど、俺より早く美咲が動いた。
「よつばくん、僕と一緒に座ろう?僕1人であんな大きなソファに座るの寂しいな。」
しゃがみこんで手を差し出した美咲に、よつばはきょとんとした顔をしてから首を横に振った。
そして、その目が俺を捕らえてびくっと方を揺らす。
後ずさったよつばの背中が壁にぶつかって、足を抱え込んだ手が少し震えていた。
まただ、また胸の奥の方がじくっと痛む。
しゃがみこむ美咲を寄せて、ぷるぷる震えているよつばの前に座り両手を広げた。
「来い、よつば。お前はもう隅っこにいなくていいんだぞ。」
不思議な色の瞳がうるっと濡れる。
「俺達と一緒に飯食って、笑って、風呂入って、ゆっくり寝るんだ。だからこっち来い。」
俺が隅から引きずり出すのはなんか強引な気がして、よつばの気持ちではないようで嫌だ。
よつばに自分から来てほしかった。
よつばの意思で、よつばの力で。
俺のところに来てほしいと思った。
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