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「CLOVER」の文字が書かれた看板がぶら下がってる三階建ての建物。
1階が店になってて2階と3階は普通の家になってる。
鍵を開けるために子供を降ろすと少し名残惜しそうに俺の服の裾をぎゅっと握った。
寂しげな仕草が可愛い。
鍵を開けて中に入ると扉についたベルが来客を告げる。
その音にビクッと肩を震わせた子供の頭を優しく撫でてやると安心したように手に擦り寄ってきた。
これだけ顔が整ってると何をしても可愛く思えてしまうから得だよなぁ。
厨房に買ったものを運びながら服を握ってよたよた着いてくる子供を見る。
そういえば名前を聞いてない。
「なぁ、お前名前は?」
冷蔵庫に食品を仕舞いながら聞くが一向に返事が返ってこない。
子供を見てみるとなんだか忙しなく目線をキョロキョロと動かしている。
…何やってんだ?
不思議に思いながらも夕飯を作る準備をしているといつの間にか離れた子供が店のメニューを持って俺のところに走ってきた。
メニューの中に食べたいものでもあったのか?
ちらりとそいつを見ればメニューの上の方をとんとんと指さしている。
指さした先には店名である「CLOVER」の文字。
CLOVER…?もしかして名前か?
そりゃねぇか。確かに外人みたいな顔だけど。
…いや、ありえるな。よく見たらめちゃくちゃ外人じゃねぇか。
色は白いし鼻は高い、おまけに目の色は不思議だし髪色も不思議だ。
「お前CLOVERって名前なのか。すげぇな。」
ホントに凄いと思ったから言ったのに何故かそいつはじとっとこっちを見てきた。
心なしか怒っているようにも見えないことも無い。
「なんだよ、違うのか?」
不服そうな顔をしている子供に聞き返せば今までにないくらい首を縦に振っている。
ぷくっと頬を膨らませている顔はなんとも可愛らしい。
てかなんでこんなに怒ってんだ。
最初から口で言えばいいだけだろ。
そこまで考えてふとおかしな事に気づく。
そうだ、最初から口で言えばいいだけの話なんだ。
なのにこいつはそれをしない。
口をパクパクを動かしている事は何回かあった。
でもその口が音を出したことはない。
言葉が紡がれたこともない。
まさか…
「お前、声が出ないのか?」
俺の問いかけに子供は少しだけ哀しそう頷いた。
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