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6 よつばside
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僕は知らない男の人に連れられて大きなお家に連れてこられた。
お金も払わないでご飯を食べさせてくれるし、三階建てのお家に住んでるんだからすっごくお金持ちなんだと思う。
歩くのが遅くてノロマで汚い僕を何も知らないこの人は抱き上げて頭を撫でてくれた。
全部全部慣れなくて、お胸かむずむずするけどとっても嬉しくなる。
降ろされると少し寂しくて大きなシャツの裾をぎゅっと握る。
怒られちゃうかな?
ちょっと怖かったけどこの人は怒らずに優しい笑顔を向けてくれた。
この人はなんだか優しすぎてロボットみたいだ。
でも、そんなロボットみたいな人でも僕の事をちゃんと知ってしまったらお母さんみたいに僕を要らないってするんだろうな。
いつからか音を出せなくなってしまった喉をさすってみる。
きっとまだ音は出ない。
だからお名前を聞かれた時すごく焦った。
僕が話せないのがわかったらこの人は僕が面倒になるかもしれない。
優しくしてくれなくなるかもしれない。
だから急いで僕の名前に関係有りそうなものを探した。
それは案外近くにあって、食べのものの名前がたくさん載ってる紙にあった。
たくさんのよつばのマーク。
だからそれを指さしたのに僕の名前はクローバーだなんて変なことを言うから僕はびっくりしちゃった。
僕の声が出ないことに気づいた男の人は僕に文字を書くものをくれてやっとお話できるようになった。
改めてお名前を言うと珍しいって言われた。
そうなのかな?よくわかんないや。
だってお兄ちゃんも弟も似たような名前なんだもん。
僕の声のお話はあんまりしたくなかったけど聞かれたから答えていく。
あぁ、やだなぁ。
思い出しちゃうよ。
僕を汚いって罵るお母さん。
僕に死ねって言うお母さん。
お誕生日にはまだ生きてたのねって。
あんたなんか早く死ねばいいのにって。
僕の首を絞めるお母さん。
僕は要らなくて汚い子。
僕だけお父さんが違うんだ。
だから汚い。だから要らない。
わかってるけどやっぱり悲しくて、僕の緑の目からぽろぽろ涙が零れちゃう。
なのに
僕より苦しそうなお顔が前にある。
どうしてそんなに悲しそうなお顔をしてるの?
どこか痛いの?何か嫌な事されたの?
…僕が、嫌なこと、しちゃったの…?
僕に優しくしてくれたその人は苦しそうに僕を抱きしめた。
大きくて温かい腕の中はすごく居心地がいい。
優しくて温かいこの人。
ロボットみたいな不思議な人。
悲しそうなお顔は見たくないよ。
また僕にあのお日様みたいなお顔で笑いかけて。
僕は大きなお胸をトントンって叩いた。
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