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泡で遊ぶよつばの頭を撫でているとぐりんと泡だらけの顔がこっち向いて。
目をぱっちりと開きながら鼻をふすんっと鳴らした。
「どうした?」
頬についた泡を取ってやりながら聞けば得意気な顔になり両手をばっと上に掲げる。
小さな掌の上には綺麗な四葉と丸い点。
「これ四葉か?上手だな。」
褒めてやると嬉しそうに目を細めながらずいずいと手を近づけてくる。
「見えてる見えてる。よつばは凄いな。手先が器用だ。」
頭を撫でながら褒めると首を振られる。
なんでだ?ちゃんと褒めてるのに。
不思議に思って首を傾げるとよつばがぷくっと頬を膨らませて、親指の近くにあった丸い点をちょいちょいと指した。
え、これなんだ。
ただの点じゃないのか?
考えろ、考えるんだ俺。
想像しろ、四葉の近くにある丸い点…。
…ダメだ全然わかんねぇ。
わからなくてよつばに聞こうと視線を下げると点から細く2本の線が伸びてることに気づいた。
「…てんとう虫?」
「っ!」
そういえば妹が店のメニューに四葉のイラストを描いてる時てんとう虫も描いていた。
てんとう虫が正解だったらしくうんうんと頷いたあとに頭に乗せたままの手にちゅっとキスをされた。
…可愛い。
自分でやっておいて恥ずかしくなったのか俺の腹あたりに顔をぐりぐり押し付けてくるのも可愛い。
つい押し付けられた頭を抱きしめる。
「どうだ?まだ、風呂嫌か?無理しなくていいんだぞ。」
そう問いかけると湯気で曇った洗面台の鏡によつばが指を這わせた。
『おふろはいる こわくない』
書いた後に俺に向き直り薄い胸をこれでもかと張る。
たぶん、怖くないのは嘘だろう。
今泡が楽しくてもっと遊びたいと思うだけで、その前まではあんなに泣いてたんだ。
そう簡単に恐怖が消えるとは思えない。
でも、あんなに泣いて震えてたのに怖くないと、嫌がってた風呂に入ると言った。
少しは風呂に対して印象が良くなったのかもしれない。
それは素直に嬉しい事だ。
「おっ、偉いな。よつばがいい子で櫻さん助かるぞー。」
胸を張って褒めてくれと言わんばかりの顔をしているよつばを、ちょっとわざとらしいくらいに褒めてやる。
だってたくさん褒めてやりたい。
きっとされた事がないだろうから。
褒められたり、甘やかされたり…愛してもらったり。
だから、されなかった分を俺がやってやりたい。
俺の言葉を聞いたよつばは心底嬉しそうな顔をする。
もしもこいつが犬だったらちぎれるくらいしっぽを振ってるだろう。
なんでこんなに素直でいい子に虐待なんかができるのか。
俺には全く理解出来なかった。
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