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変われないから
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目の前に横たわるルイを見て涙を拭った
ヴァンパイアなんかよりも格段に体力が少ないルイにとって地獄の時間だっただろう
好きでもない男に抱かれるなんて
「アッ…ネストさっ…」
ルイが呟いた声に身体が震えた
「君は残酷だね」
こんなに酷いことをされても、俺に縋ってくれるのかい
シャルがいながら、俺を求めてくれるのかい
拭ったはずの涙がルイの頬に落ちていく
生まれて何百年、誰かの死を何度も見てきた
俺の親友も家族も…愛したヴァンパイアさえも
皆んな俺を置いて先に逝ってしまう
そんなときは涙を流した
俺よりも先に逝ってしまう“普通”が嫌で少しでも楽になりたかったから
今まで会ってきた彼らがルイを通して嘲笑っている
ルイの裸体を見て、興奮している俺を
ルイが乱れる姿を見て、ルイの潤んだ瞳も汗ばんだ体も溢れる唾液にさえ自身の高揚感が抑えられない俺を
もはや動物だ
自制の効かない動物
もう、悲しませないと決めたのに
これから生きていくせめてもの時間がいいものになれば、なんて思っていたのに
所詮、俺はこの程度だったのだ
誰にも大切にされなかった、自分がどうして他人を大切にできると思ったのだろうか
浅はかな覚悟でルイに近づいてはいけなかった
俺よりも最低な生きる道を歩いてきたルイに、なんて酷い事をしてしまったのだろう
ルイに毛布を掛け俺は部屋を出た
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