アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
ルイが顔を上げた
空にはたくさんの光が散らばっている
魔物達の飛んだ後の軌道なんだけど、それが黒い空にはよく映える
何色にも光る空にルイは口を開けて見入っている
「ここに来たらさ、空を見るためにどうしても顔を上げなきゃならないだろ?だから、悩んだ時とか、泣きたい時とか、苦しい時とかに来るの。ルイには知って欲しいんだ、俺の事」
ルイが俺の腕を遠慮がちに掴む
「ルイ…愛してるよ…」
ルイが目を見開き俯いてしまった
ただ、髪から出ている真っ赤な耳が見えているだけで俺は満足で
「ルイ…愛してるよ…愛してるんだ」
俯いたままのルイを抱き上げ顔を覗き込む
目が合って逸らした
そして、また目が合う
「ぼっ…う…も…」
「ふふっ…うん」
おでこを合わせて2人で笑う
涙だって出ないくらい幸せな時間
俺がルイにあげたかった幸せ
「ルイ…そろそろ帰ろうか」
「う…ん」
ルイが寂しそうに空をチラッと見た
気持ちを晴らすために来たのに空が恋しくなって少しだけわだかまりみたいな寂しさが残る
俺もいつも思う気持ち
共感できる事が増えて、お互いの嘘の気持ちに隠れた本心が見えてくる事が増えたらいい
綺麗な言葉じゃ収まらない俺の気持ちがルイと一緒だったらいい
「また来ようね」
ルイが柔らかく笑って頷く
俺の首に腕を回してギュッと抱きしめる
声が出ない代わりのルイの“愛してる”
胸があったかくなって、ついつい頬が緩む
ヘラっとした顔のまま帰る
ルイと一緒に
俺の家に
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 103