アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1
-
走る秒針は全ての人に平等に与えられる。
静かな空間で鮮明な針音と冷たいコンクリートの床を鳴らす靴音。
心地良い音と共に、時計の針は美しく直角を描く。
綺麗だ、と男は思う。
平等な筈の1秒は、その瞬間だけが切り取られたように永遠だった。
「———今日もいい日だよ。朱莉」
書き溜めては、一つも届けられる事のなかった手紙。
それを繰り返す内に、積もるほどの数になった。
書きかけのままの一枚を、便箋に包んで、男は一つ小さな息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 13