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死刑執行の名の下に遺体となった彼は身元引き取り人となる家族がいないため、彼は寺院で埋葬されることとなった。
———俺は刑務官の仕事を辞めなかった。
彼を忘れないように、十字架を背負い続けよう。
死神で居続ける。自己満足な贖罪だ。
眠るように目を閉じる彼の顔の横に枕花の 純白のネリネ を添える。
柄にもなく、花言葉を調べた。
高く高く煙は、昇る。
相楽は八田 和司の旅立ちを見届けていた。
死刑囚という肩書きを持った彼の葬式の参列者はそう多くはない。
しかし、きっと彼は幸せになってくれる。
そう思えば、優しく笑えた。
白い煙が真っ直ぐに、直角に天に昇っていく。
美しい、と純粋に思った。
「……八田、またな」
小春日和で冬のくせに暖かい空気は、彼が笑っているようだった。
———やがて、絶えず出ていた糸のような煙は、途絶えて消えていった。
『 また会う日を楽しみに 』
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