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恋人になりたい 6
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その後、しばらくずっとぼくは
小澤くんの胸の中にいた。
宗助くんのこととか
付き合っていく不安とか
それまで離れていたつらさだとか
付き合うってことになっただけで
こんなにも安心して幸せになるなんて。
「恋人になったんだし、
デートでもさっそく日曜日しようよ」
そっと離れて僕の顔を伺うように
小澤くんが言った。
『デート』とか『恋人』とかの言葉に
ついつい赤くなっちゃって俯いちゃうけど
僕は何も言えない代わりにこくこくと頷いた。
結局、小澤くんは僕を家まで送ってくれた。
「じゃあ、また明日ね」
とつぶやいて僕に背を向けた小澤くん。
明日も会えるってわかっているけど、
今日はなんだか特別で。
もう少し一緒にいたいという気持ちが
僕を困らせる。
気が付いた時には小澤くんのシャツの裾をつかんでいた。
「……湊くん」
困ったように僕を振り返り、帰れないよと苦笑いする。
「あ、ごめ……」
申し訳なくなって思わずうつむいた。
「湊くん、かわいい」
ぎゅーっと僕を抱き寄せて僕のおでこにやわらかい感触が
落ちてくる。
小澤くんが僕のおでこにキスをしたんだって
瞬時にわかって恥ずかしくなって
帰ってほしくないだとかさみしいとか一気に吹き飛ぶ。
「明日もあるし、明日もちゃんと恋人。
それに日曜はずっと一緒にいられるし」
小澤くんはタコみたく真っ赤な僕をみて小さく笑いながら
僕の不安を消し飛ばしてくれた。
「うん。ほんとだよね…、夢じゃないよね」
僕は夢じゃないことを確かめるように自分の頬をつねる。
痛い。
夢じゃないやと笑って
小澤くんをそろそろ帰してあげることにする。
「また明日ね、小澤くん」
ばいばいと手を振って彼の後姿を見送った。
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