アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
まりあちゃん 2
-
早速みんなで回ることになったけど、
小澤君の隣は、まりあちゃんに奪われていた。
小澤君は、塩対応なんだけど、
まりあちゃんがぎゅっと腕を掴んで離さない。
僕は「どいて」なんて
とてもじゃないけど、言えるはずもなく
後ろから恨めしく見つめるしか無かった。
「ねね、ジェットコースター乗ろーよ!」
まりあちゃんがそんなふうに提案するも、
僕はカツラのこともあるけど、
怖いから行かないなんて言っちゃって
てっきり残ってくれるかなって期待したけど
まりあちゃんが強引に連れ行ってしまった。
ため息をついて2人の帰りを
ベンチで待っていると、
「つめた…、」
ほっぺになにか当たってびくっとなる。
見上げると、杉山君がいた。
「はい、これ」
渡されたのはオレンジジュースだった。
ありがとうと言いながら飲む。
杉山君も僕の隣に腰掛けると、
「みなちゃんだっけ」
そんなことを聞いてくる。
そういえば、小澤君に遮られて
自己紹介出来てなかったと気づく。
「うん、蔵本みなだよ」
コクっと頷くと、
「俺さ、ダブルデート興味なかったけど
みなちゃんがいるって聞いたから来たんだ」
って言われてえっと驚いた。
「実は友達に連れられて
初めてメイドカフェに行った時、
みなちゃんがお店で接客しているところ
みてから俺、ずっと君のファン」
まっすぐな眼差しで見られて
少し恥ずかしいのか赤くなった杉山くん。
気づかなかったかもしれないけど、
結構通いつめてるんだよねって言われて
そうだったんだとつぶやく。
全然気づかなかった。
僕のメイド姿にもファンがいたなんて。
「下心ないとは言いきれないけど、
みなちゃんと、友達になりたかったんだよね」
良かったらこれと渡される。
渡されたものを見ると、
連絡先が書かれていた。
「強制じゃないけど、
追加してくれると嬉しいな…なんて」
好意が単純に嬉しかった。
けど、女装なのに、
ちゃんと僕を女の子として
見てくれている杉山君に
ちょっと申し訳なく感じた。
「ありがと…、後で追加しておくね」
とりあえず連絡先が書かれた紙を鞄にしまう。
「……あ〜緊張した」
ぐーっと伸びる杉山君に笑ってしまった。
「だって、こんなに可愛い子に
告白まがいの話するの、緊張するよ?」
むすっとしながら僕を見てそう言うから
可愛いななんて思ってしまう。
「これからはファンじゃなくて、
友達として来てよ」
ファンなんてちょっと距離遠いし、
せっかくこうして知り合えたんだしと
言ってみる。
「え!いいの?」
嬉しそうにぱあっと笑顔になって
僕の手をぎゅっと掴んでくる。
「…う、うん」
その勢いに圧倒されつつ、
犬みたいなんて
ちょっと失礼なことを思ってしまいながら
はにかんだのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 83