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やり直し 6
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「ごめん」
じっと僕を見つめる杉山くんに
声が震えてしまった。
少し冷たい風が
僕らを嘲笑うかのように
吹いてる。
「……ごめん、なんて言わないで」
じっと見つめていた杉山くんが、
少し掠れた声でそういった。
僕は……、別に騙したくて
騙したわけじゃない。
ただ杉山くんとは
出会ったばかりだけど
もう仲のいい友達で、
これからもっと仲良くなれたかもしれない。
気まずい空気になってしまった。
もう元には戻らない。
きっと。
「僕、やっぱり1人で帰る」
ぎゅっと鞄を握りしめて踵を返した。
もうきっと杉山くんは
僕に話しかけないだろう。
そう、もう、、、
ただの知り合いに戻るだけだ。
「……待てよ、待てって言ってるじゃん」
がしっと手首を掴まれ、
振り向かされる。
「こんなの、信じない」
強い声にどきっとする。
「え」
僕は思わず声を上げてしまう。
「こんなの、どうだっていいよ」
真剣な眼差しで言われて
僕は杉山くんから目が離せない。
「どうだっていいんだよ。
男だって女だって
俺の前にいるのは、みなちゃんだよ」
すっと腕の中へ引き込まれる。
僕の頭は、
混乱してしまって
何が起こってるのか
理解が出来なくなる。
「あ、え、すぎやま、くん、」
離れようとするけど、
離してはくれなくて。
「俺、諦めたくない」
耳元でそんなことを囁かれて
顔がさらに熱くなるのを感じる。
「だから、これでお別れって
思わせないでよ、」
泣きそうな声で言われる。
ぽんぽんと背中を叩いてあげながら
「うん、ごめん、」
と僕は言っていた。
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