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蔵本湊 2 (修正済)
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はぁっとため息をつきながら
その場に立ち尽くしていると、
誰かに後ろから肩を叩かれる。
「湊、なにしてん……?
なに『ミラクルウィッチ☆メイドちゃん』って」
振り返ってみれば、
幼馴染の遠山燿(とおやま よう)である。
「よ、燿……」
もし彼だったらどうしようと一瞬浮かんでいた
不安は燿の姿でなくなる。
でもどうしてそんな不安が、
彼の事がこんなとき、
浮かんだのかよくわからなかった。
「なに、ほっとしちゃってんの……」
じとーっという目で見つめられるが、
僕はその問いにもこたえられなかった。
なぜなら彼の事を話してしまったら
きっとすべてを話したくなってしまうからだ。
「別にほっとしちゃってないよ。
それより燿もこれから帰り?」
鞄を持っている彼を見ると、
そのことが分かり、一応聞いてみた。
すると、彼はコクッと笑顔で頷く。
「……そうだ、お前ももう帰りだろ?
一緒に帰ろーぜ」
彼の提案は僕を救ったのか、
地獄に蹴り飛ばしたのか、
その時は区別もつかずに、
そうだねとただその提案に了承したのである。
――
校門から出て数分すると、
「あ、あのさ、湊」
どうやら彼も気付いてしまったらしい。
先ほどからついてくる人影に。
「何かな?」
平然を装って彼に耳を傾けると、
「……後ろに誰かいるよな」
そういうと
ばっと振り返って
燿と小澤君の鬼ごっこがはじまったのである。
僕の幼馴染は、スポーツ推薦で
あの高校に入学していて、
陸上部所属でその部活の中でも
一二位を争う陸上マンであるから
結構、小澤君と
距離があったのにもかかわらず、
案の定、
あっけなく彼を捕まえ、
カフェに拘束し、
「で……ストーカーしている小澤君」
じとーっと彼を見ながら、
まるで僕のお父さんのように
切り出したのである。
「何かな、遠山」
気まずそうに歯切れの悪い小澤君は、
珈琲を片手に僕らを見つめていた。
ただコーヒーを持っているだけなのに
どうしてこうも
彼は素敵に見えてしまうのだろうかという疑問は
置いておこう。
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