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蔵本湊 14 (修正済)
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積極的かぁ……。
相談を終えた僕は、
ぼーっと窓の外の空を見ながら
授業を受けていた。
「…くん、みーくん」
そのため先生にご指名されていたとは気付かず、
授業もろくに聞いていなかったため、
恥ずかしい思いをしたのは言うまでもない。
「…えっ」
ちょんちょんと右隣の桐野さんが
僕の腕を触って
先生の指名に気付かせてくれた。
少しいらだった顔を見せて
僕の方をじーっと見つめてくる
先生の視線を痛く感じながら
そそくさと立ち上がって謝った。
「す、すいません……、
授業を聞いていませんでした」
かぁーっと熱くなる頬を感じ
僕はうつむき加減に謝り、
クラス全員から好機の目が
向けられた。
そんな僕を心配してか、
桐野さんが授業後、
声を掛けてきた。
「みーくん、大丈夫?
何かあった?それとも体調でも悪いの?」
今朝もクマ作ってきたし、
心配だよと眉を困らせる。
「ううん、ほら、僕はいたって健康だし」
くるっと一回りして笑ってほらっと見せる。
すると、
『そう? なんかあったら相談してね。
力になるから』と顔を少し歪め
僕の頭を撫でる。
『相談』なんてできるはずがない。
桐野さんにも
クラスメイトの皆にも
変な印象を持ってほしくない。
それは
いつも慕ってくれている僕が、
男同士の関係の相談なんてしたら
変な風にとらえられそうだったし。
特に桐野さんには変にみられるのが嫌だった。
なんでか分からないけど、
彼女は僕にすごく優しくて
いつも気遣ってくれる。
その視線は、どこか安心できる母親のような視線で
見守ってくれる彼女の存在が
僕にとってかなり大きいものだった。
『桐野さん』という温かな存在を
なくしたくない。
僕が助けを求めれば、味方になってくれる存在を。
自分勝手かもしれない。
だけど、そういう人たちに
僕の傍からいなくなってほしくないという気持ちの方が
強くてそれを失うまいと
僕は取り繕ってしまう。
そう思いながらも、
山川先輩たちにしてしまったのは
なぜなのだろう。
たとえ頼ることができたとしても
彼との関係の進展は、
自分で頑張るしかないってことだよね。
それにこの曖昧な気持ちもどうにかしたいし、
僕から話しかけてみようかな……。
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