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球技祭 2 (修正済)
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ドッチボールは9時半から30分の間、
体育館で行われるから宗助くんが出るサッカーの試合に
余裕で間に合いそうと思いながら、
先程開会式を終えて移動をしていた。
「……頑張れよ、湊!」
そう肩を叩いて応援をしてくれるのは、燿である。
「……うん」
ボールに当たるのは怖いし、痛そうだし、
チームの為にも精一杯逃げないとと思いながら頷く。
ちなみに燿は、バスケに出るのでお昼からだと言っていた。
競技に出ないそういう人はクラスの応援にまわることが約束されている。
「早くいこ、みーくんっ!!」
そんな僕の手を引っ張りながら催促してくるのは桐岡さんである。
バレーが得意だと言っていたが、
僕のことが心配で掛け持ちしてくれた。
あんまり気が乗らないけど、
桐野さんもいるし、
僕は戦場へと駆け出したのだった。
二勝三敗。
僕らのクラスは、学年で5クラス中、
四位という若干悪い成績でドッチボールを終えた。
「…うー、ごめんっ、みんな…」
頑張っていたにも関わらず、
なぜか一番最初に全試合において
当てられてしまった僕は謝罪でいっぱいだ。
「……まあ、しょうがないよ、みーくん!」
と慰めてくれるが、僕の気持ちは晴れなかった。
そんな晴れない気持ちのまま、
応援組に交わり、サッカーの会場へと足を運ぶ。
ぞろぞろと移動をしていると、
もうサッカーコートの周りには
たくさんの女子で埋め尽くされていた。
「うわぁ、すごい人だね」
これほどまでにぎわっているとは思わなかったので、
思わず声に出してしまう。
「そうね、人気者の誰かさんがいるからかな」
隣にいた桐野さんがしっかり僕の声を聞き取ってくれて
答えてくれる。
「人気者…??」
江端君も確かに人気があると思うけど、
ここまでだっけと不思議に思っていると、
誰かが黄色い声で小澤君と叫んでいた。
声のしたほうを見ると、小澤君が女子に囲まれている。
「あ、小澤君だ」
あれ、彼もサッカー出るんだっけと思っていると、
「サッカーの種目に出る予定だった平本君が
今日お休みだったから小澤君に出てもらうことになったんだよ」
みーくんは開会式の準備で
教室にいなかったから知らないと思うけどと
桐野さんが補足説明をしてくれる。
へぇ、そうだったんだと思いつつ、
場所取りをしておく。
十時三十分きっかり。
キックオフが始まり、ゲームスタートの合図も出た。
「小澤くん!!がんばー!!」
小澤君の応援に来ている子が多いからか、
小澤君に対する応援の声しか聞こえない。
僕も応援しているけど、
黄色い声で消されてしまっている気がする。
一応僕は、宗助君と小澤君の両方を応援していたけれど、
小澤君の応援がこんなにあるなら小澤君は大丈夫だろうし、
宗助君を僕はいっぱい応援してあげようと思ったり。
「宗助君もがんばれー!」
声を大きくして口に手を添えながら声援を送った。
隣にいた桐野さんに敵チーム敵チームと制されたが、
「友達だもん」と笑って返しておいた。
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