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球技祭 5(小澤side)(修正済)
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この勝負、もらった。
って数十分前までは思っていた。
でも最終的に応援されたのは江端の方だった。
可愛くてまだ声変りが終わってない
あの独特の声で頑張れと言われた方は俺ではなく、江端宗助。
ちょうど俺と江端がボールを取り合っているところで
言われたものだから俺のショックはかなりだ。
彼の瞳には俺より江端の方が強く映っていたんだとそう思うと、
それ以降の試合は活力を無くした。
胸を締め付けるようなものはと初めての胸の切ない気持ちに
どうにかなりそうだった。
試合が終わって結果を報告にしに行こうとする江端が
俺の方を見てにやっと笑った。
勝ち誇った笑み。
それは俺が数十分前まで自分がするだろうと予想していた笑みだ。
だからそれができなくて負けたからには
今度近づいてはいけないんだという悔しく切ない気持ちと、
ただ空しい気持ちとに挟まれて、
取り巻きの女たちが世話を焼いてくれるけれども、
とっても笑顔を見せてやれる気持ちにはなれなくて
「……くそ……、なんで俺をアイツより先に……」
応援してくれないんだよという言葉は俺の胸のうちに消えていき、
汗のにじんだ手をギュッと握って、
楽しそうに話す委員長と江端の二人の姿を見つめる。
「江端宗助…」
振られちまえばいいのにと
善望と憎しみの目で彼の名前をぽつりとつぶやいた。
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