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球技祭 8 (修正済)
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静まり返ったその場は僕と宗助君を苦しめた。
長年の思い出が一気に押し寄せて、泣きたくなった。
僕は彼にそんな気がなくても、彼は僕が好きだ。
恋愛的な意味で好きなのだ。
だから僕は彼を振り切ることができず、彼を泣かせたくなかった。
友達としての彼、
宗助という存在がいなくなってほしくなかったのだ。
「……しって…た」
小さくその沈黙を破って震えた声で頷いた。
「けど、気付かないふりしてた。
宗助君とは友達でいたかったから」
涙を思わず流し無理して笑ってみると、
彼もつられて泣きそうになっていた。
「なんかごめん、湊」
僕を抱き寄せて背中を慰めてくれるように叩いてくれる。
ああ、どうしてこんなにも優しくて
僕をずっと見てきてくれた人を無下にできるだろうか。
大切な友達だった。
「僕は友達として好きだけど、
宗助君が僕のことそんな目で見ているからって
嫌いにならないよ」
ちゃんと今の気持ちを伝えるだけ伝えておこうと思う。
だけど、宗助君もずっと僕のこと見てきたんだと思う。
「だったら、お試しで付き合おう」
こんな提案をしてきた。
きっと彼を拒んでしまったら、
彼は僕から遠ざかってもう話もできない気まずい関係に
なってしまうだろう。
僕は嫌だった。
それなら僕はお試しで恋人になって、
彼を恋愛の意味で好きにもなれたら、それで解決できる話だ。
「……うん、わかった」
頷くと同時に
僕のファーストキスを彼は優しく奪って行った。
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