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球技祭 11 (修正済)
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「もしもし……?」
僕は一生懸命平然を取り繕うとした。
『え……、もしかして……泣いてる?』
なんでわかってしまうんだと思いながら
ううんっと鼻をすすりながら首を振る。
「ちょっと鼻が詰まってね、そんなわけないじゃん」
えへへっと小さく笑い声を無理やり出し
何かなと話を逸らすように聞き返す。
『別に用はないのだけれど、
蔵本君の声が聞きたくなって』
そんな彼の言葉にまた泣きそうになってしまうのは、
きっとこの恋が僕の選択で終わることが
再認識されるからだと僕は思う。
「……あのね、僕、さっき宗助くんと、
お試しで付き合うことになったんだ…っ」
もう小澤君には何も隠してはいけないと思い、
精一杯明るい声でそう言う。
言ってしまえば、もう怖くない、
そう思った。
だけど、僕の心に残ったのは
何かぽっかりとあいた喪失感だけだった。
__何分だっただろうか。
僕のその報告から
かなりの時間が経った気がする。
もう切れてしまったのかと思い、
通話場面を見るが、繋がったまま。
「……へぇー、良かった、ね」
何分か後に返ってきた小澤君の声は
震えていて、ほとんど棒読みだった。
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