アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
始まりの音 3
-
変な咳払いをしてから俺は言った。
「とにかく、生徒としての性分を忘れるなよ?学業がまず一番に考える事」
先生ヅラしながら、まともな事を言ってはいるが実際は違う。
『一番に颯人の好きな奴の事を考えるな!』と言いたかっただけ。
自分の身体を傷つけても良いと思っている颯人に、俺がいるって知って欲しい。
教師になったのが、こんなに後悔するとは思わなかった。
「わかった、成績を落とさないようにするから」
(クソッ!)
つい、心の中で悪態をついてしまう。
自分の初恋がこんなにも無惨な感じになるなら、8年前のあの時に海外に行く事、そして告白しとけば良かったと今、思ってももう遅かった。
(再会して、すぐ失恋とはね…俺は本当に馬鹿だ!!)
難しい顔をしていたのか、颯人が心配そうに聞いてきた。
「要先生?」
「いや、悪い。少し考え事していた 。まず、時間とか場所とか色々…」
邪な気持ちを悟られない様に、誤魔化した。
「あ…」
颯人もそこまで考えてないのか、驚きの声が聞こえた。
「今の時間が一番いいのかも。颯人は部活は何をしているんだ?」
今さりげなく名前呼びした俺に、颯人は気にしていなかった。
「俺は免除というか、自分の作る服の作業時間が今だから…」
「服?」
「デザインから寸法、裁断、縫い付けまでの一通り自分自身でやってて。入学したのも、在学中にこの学校の姫の服とかで実戦出来ないかと思って」
「すごいじゃないか!!そういえば、編み物をしていたよな~。もし、やるなら生徒会顧問として俺が推薦してあげるよ」
「本当に?」
顔が明るくなった。
よほど、服を作る事が好きなんだとわかる。
「じゃあ、毎日は無理だな…俺も仕事あるし。んー、週一とか?」
「週二とか、週三とかは駄目ですか?」
(そこまで、切羽詰まってるのか…)
「そうだな、でもまず一番は俺と出来るかどうかだから…これから俺の部屋に行くか?」
いくら口で言っても、時間を置いた時にいざ!となったら『無理、出来ない』と言われかねない。
善は急げ?
颯人の気持ちが変わる前に早急にしなければ。
俺は颯人なら、すぐにでもセックス出来るが颯人が拒否すればアウトだ。
「行きます」
躊躇いもなく、そう言われて非常に嬉しくなったが、それと同時に不安にもなった。
どこまですればいいのか、拒否られないだろうか。
颯人が、俺の事を好きになってくれないだろうかとか。
教師達と同じく自分の部屋は、ここから東側の寮の棟に一緒になっている。
「じゃあ、移動するか」
廊下を歩きながら、緊張をしていて変な錯覚に襲われた。
道のりがすごく遠いような近いような、心の迷いみたいにいつもの部屋に帰る道じゃない様に思えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 164