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颯人の副業 4
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百合が『きゃ~♪』『可愛い!』とスマホを見ながら言っている。
「…茉莉」
颯人が、茉莉に言った。
「百合ちゃんより、先に採寸したい」
お互い、手持ち無沙汰になってしまっていたので颯人の一言は助かった。
「あぁ、そうだな」
ギクシャクしないように、しなければ。
「どうしたらいい?」
「立って」
言われて立つ。
「…細かく測定するから」
「わかった」
首周りから、測り始める。
颯人の冷たい指が、茉莉の身体に触れた。
「…っ」
颯人の伏せている顔を見ながら、目が泳いでくる。
(ヤバイ…この状態って、いつまでしてればいいんだ?)
少し顔を下に向けると、颯人のおでこに唇が届く。
颯人の髪の毛は、漆黒で弾力のあるストレート。
茉莉の髪の毛は猫っ毛で茶色なので、全然違う髪質だった。
颯人から、いい香りがする。
颯人を抱きしめているみたいだ。
密着している感じが、まるで颯人が茉莉の身体を舐めているみたいで、じっくり見てしまう。
(…っ、これが裸だったら、どんなに良い眺めか)
不純な考え方がわかったみたいに、タイミング良く颯人が茉莉に言う。
「…茉莉、顔下げすぎ」
「わ、悪い」
慌てて顔をまっすぐに戻すが、また下をチラ見してしまう。
(…)
キスをしたい。
(って!落ち着け!!百合が目の前にいるんだぞ!さっきから俺の頭は、エロい事しか考えていない!)
「茉莉、落ち着いて」
颯人の声にビクッとなる。
「ひゃいっ」
動揺しまくりだ。
なんていう声を出してんだ、俺は。
「ふっ」
その声に、目を大きく開けた颯人が噴き出していた。
「…颯人」
「変な声…ふふっ」
久し振りに見た、颯人の笑い顔にキュンとなった。
(…ヤバイ、本当に可愛い)
百合がいなかったら、抱きついていただろう。
「珍しい!颯人が笑ってる」
百合の一言にハッとして、出した手を引っ込めた。
颯人は少し剥れながら言う。
「…百合ちゃん、俺だって笑うよ」
「そうかなぁ。あ、でも颯人はツンデレだから」
「ツンデレ?」
「確かに」
(デレたら、すごいエロいしなぁ)
頷くと、颯人はため息をつきながら言った。
「茉莉まで」
「だよね~!昔から颯人は茉莉にベッタリだったし」
そう言われて、颯人は顔を背けた。
「…昔の、話だから」
その一言になぜか、ひどく切なくなった。
『昔』と言われたことが、やけに引っ掛かってしまった。
「茉莉も颯人の事、可愛かったでしょ?」
「ん~!?…あぁ、可愛かったよ。今も可愛い」
動揺はしたが、思っていたことを素直に口にした。
「何、言ってるんだよ!それよりも、真っ直ぐ立ってよ」
「悪い…」
視線を戻す前に、髪の毛の隙間から見える颯人の耳は真っ赤っかだった。
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