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そして… 3
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走らせていると、少ししてから颯人からメールが来た。
ちょうど信号で停まったので、スマホの画面を見る。
『駅に着いた。北側に向かうから』
信号が変わる前に、素早くメールを打つ。
『俺も今、学校を出たよ』
誰にも気づかれずに、逢い引きをしているみたいでドキドキしてる。
(…早く、会いたい)
近くにいるのに、姿を見るだけがこんなに辛いなんて…。
(会って、顔をちゃんと見たい)
初恋の人。
大切な人。
誰よりも愛している。
なのに、告白出来ない自分。
(『颯人を、どうしたいの?』か…。会って、この気持ちを自覚したときから時間は十分に過ぎているのに、答えが出せないな)
気持ちがモヤモヤしながら裕汰に言われた事を考えていると、3つ先の駅に着いた。
信号で、車を右側の車線に移動させ曲がった。
(颯人のいる場所を、探さないと)
連絡をするために一旦、車を邪魔しならないように路肩に停めた。
『北側に行ったけど、今どこら辺にいる?』
すぐに返事が返ってきた。
『4本目ぐらいに公園があって、そのすぐ左の道路を北に向かって歩いている』
カーナビを見た。
(…公園、公園)
地図を見ると、今いる所の道路から少し左側の奥に公園があった。
『わかった。今、行くから』
返信が返ってきた。
『婦人用の白い大きな帽子を被っているから。わかると思う』
『見つけるよ』
車を公園まで走らせた。
それから左の道路に向かうと、道路の2本先に白い帽子を着けている人が見えた。
(…見つけた)
ゆっくりと近づいて行く。
後ろからの気配に気がついたのか、白い帽子の人は立ち止まった。
車で近くと、颯人だった。
「…乗って」
車を停めてシートベルトを外し、運転席から手を伸ばして助手席のドアを開ける。
颯人が乗り込んだ。
シートベルトを締め直し、すぐに車を走らせた。
「…公園は駄目だって言われてたけど、歩いていたら公園に着いて焦った」
颯人が安堵のため息をついた。
「いや、かえって目印になったから、ちょうど良かった。白い帽子を被ってくれたから、解りやすかったし。でも、どうしたんだ?女性物だろ、それ」
帽子は被ったままで、颯人が答えた。
「百合ちゃんの私物。寸法を測ってからあの後に会ったときに、この帽子に似合うワンピース作って欲しいって頼まれてて」
「…悪い。ただでさえ、無理難題を押しつけているのにな…百合には叱っとくから」
『ウェディングドレスを頼んだのを、忘れたのか?!』と言わなければとならないと思った。
「でも、そのお陰で役に立ったし。無断で借りたから、逆に頑張ってワンピース作って、お礼しないとね」
久しぶりの颯人の声に、嬉しくなった。
少し走ったところで、颯人が口を開く。
「ねぇ、茉莉。俺は助手席に乗ってもいいの?」
「…いいに決まってるだろ?」
何だか今日は、素直に話してしまう。
(さっき、裕汰にも本音を口走ってしまったしな…)
これ以上だと、颯人が困る事を言いそうだったから慌てて話題を変える。
「そういえばっ!まだ時間が早いけど、どこか行きたい所あるか?」
「う~ん…特に無いけど」
「じゃあ、ちょっと行きたい所があるんだけど」
「いいよ、行って」
(良かった!調べておいて)
車を、ある場所に向けて走り出した。
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