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デート 3
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結構、量があった御膳を残さずに食べた。
「いや、いつも学校で食べてるのは家庭料理だから、また違った美味しさだったな」
「ん、美味しかった」
颯人も満足していた。
「さてと、行くか」
靴を履き、玄関近くのお会計にいる女性に声をかけた。
「ごちそうさまでした」
そう言って、店を出ようと颯人の腰に手を回して外を出るように促したら、颯人が呼び止めた。
「茉莉、お会計!」
「もう払ったよ」
「え?」
「はい、頂きましたよ」
会計の女性も言ってくれた。
「…いつ?」
「さっき、トイレに行った時に」
「…知らなかった」
颯人は呆然としていた。
「お金…」
「いいって、奢りだから」
「だって、さっきも…」
「さっきは、さっきの話。次、どこに行きたい?」
外に促すと、颯人が『待って』と言った。
後ろを振り向き、会計の女性に軽く会釈をした。
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「また、いらして下さいませ」
丁寧にお辞儀された。
従業員の教育が、行き届いているのがわかる。
「…また、来ます。ね、茉莉」
颯人は、茉莉に向かって言う。
「…あ、あぁ」
(俺と?それとも…)
また、考えてしまう。
しかし、茉莉は頭を振り、ニコッと微笑んで言った。
「また、食べに行きますね」
「お待ちしております」
再度、深々とお辞儀をされた。
車に乗り込む。
「…さて、これからどうするか。まだ時間があるし」
「ここで終わり?」
「自由時間、だな。連れて行きたい所は、ここまで」
あとは全く、思いつかなかった。
(場所が良くなかったのかな…)
この辺は、意外に観光スポットが無い。
「…じゃあ、海が近いよね?海が見たい」
「いいよ!行こうか」
(良かった)
自分ばかり颯人を振り回しているみたいだったし、颯人から意見を言ってくれたから、よりデート感が味わえた。
胸がジーンと熱くなった。
そして、車を海沿いに向けて走り出した。
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