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決心 4
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助手席のドアを開けて、颯人をお姫様抱っこする。
「…歩けるよ」
颯人はまだ歩けるはずもないのに、強がって言った。
「身体が辛いだろ?」
「部屋を出た時よりも、だいぶマシだよ」
だが、颯人は茉莉の首にギュッと抱きついた。
頬ずりまでしている。
「…」
颯人の態度に、違和感があった。
昨日からじゃない。
もっと前から。
たぶん、茉莉の部屋で最初にキスをした時から。
いつでも、嫌がらずにレッスンをする颯人。
本当に好きな人の為に身体を犠牲にしてまで、茉莉と『初めてのセックス』をするだろうか…。
レッスンの時は何にも嫌がらず嬉しそうにしていた。
そして昨日も散々抱きまくっていたにもかかわらず、嬉しそうに茉莉に抱かれていた。
(…?)
茉莉は、その違和感の理由をまだ、気付けなかった…。
寮の裏口の鍵を開けて、中に入った。
「…誰も廊下にいないね」
「…まぁ、いても『颯人が足を挫いた』とか言えばいいかなと」
「…前に、こんな事した事あるの?茉莉、手慣れてる…」
なんだか、冷たい目を向けられている気がした。
「無いって!」
「茉莉、しーっ」
茉莉の声が大きいと、颯人が人差し指を口に当てる。
「…はい」
バレずに部屋まで運ばなきゃならないのに、大声を出している場合じゃない。
音を立てずに廊下を歩いていたが、普段は生徒が騒がしくいる寮が今は静かすぎて、以外と靴の音が響く。
日曜日のお昼過ぎだから、大抵の生徒は外出や昼ごはんを食べ終わって部屋でまどろんでいる時間だった。
(この時間で良かったかも…)
エレベーターまで来た。
颯人はAランクの部屋になったので、上ボタンを押すとすぐにエレベーターの扉が開いた。
乗り込み、4階を押す。
誰かに会うんじゃないかと内心ドキドキしていたが、途中で止まることもなく4階まで来た。
扉が開いた。
4階のフロアには、誰もいなくてホッとする。
4階は生徒会のメンバーだけの部屋しか無いので、人数からして初めから気楽ではあったが…。
そのまま、颯人の新しい部屋に連れていく。
「颯人、鍵は?」
「ポケットにある」
ようやく、颯人を腕から下ろした。
颯人のポケットから、部屋のカードキーが出る。
カードを差し込むとガチャッと、鍵が開いた。
「…茉莉」
颯人がクルッと後ろを振り返り、茉莉の方を向いた。
「…」
(これで、この関係も終わりだ)
ギュッと、胸が痛いくらい締めつけられた。
「…今まで、本当にありがとう」
颯人は微笑んだ。
「この話を受けてくれて、本当に嬉しかったよ」
「役に立つといいな」
(本当に、そう思っているのか?俺は…)
「うん、役に立てるように頑張る」
颯人の表情が読めない。
茉莉は、不安になった。
(本当に、これで終わり?)
颯人が一歩、茉莉に近づく。
「最後に…キスして?」
颯人の両腕が、茉莉の首に伸びた。
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