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後日談 2
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30分後ぐらいに、館内放送がかかった。
『如月颯人くん、面会です』
玄関まで2人で行くと、百合と絢斗がいた。
「こんにちは初めまして、綾鷹 絢斗(あやたか けんと)です」
颯人に、スッと名刺を渡す。
「花杜コーポレーションで、社長秘書をしております。百合から聞いていましたが、忙しい所をすみません」
深々とお辞儀をされる。
「如月颯人です。あの、俺の方も勉強になって嬉しいので大丈夫です。だから、頭を上げて下さい」
「絢さん、前に言った通りでしょ?はい、頭を上げて」
百合が、絢斗の背中を触る。
それを合図に絢斗は、ようやく体勢を元に戻した。
「ごめんね!びっくりしたでしょ?絢さん律儀だから、これが当たり前なの」
「丁寧な人だね」
「いえ、きちんと挨拶をしたかったので。これはつまらない物ですが…」
スッと紙袋を渡される。
誰でも知っている老舗の和菓子屋、"美甘堂"のものだった。
「ご丁寧に、どうもありがとうございます」
業務的なやり取りに、百合が割って入る。
「絢さん、寸法を測ってもらいましょ?」
「うん、そうだね」
「じゃあ、俺の部屋に行こう」
4階のAランクの、颯人の部屋に着いた。
「こっちに来て、真っ直ぐ立ってください」
絢斗のサイズを測る。
前に百合が言っていたサイズが、以外に当たっていた。
「…すごいね。百合ちゃんが言ったの、大体合ってるよ」
「でしょ~!絢さんのサイズは、わかるからね」
「すごいね、百合」
絢斗も驚いている。
「抱き合ってたら、わかるからねー」
「そういえば、この前もそんな事を言っていたな」
茉莉が感心して言う。
「颯人だって、茉莉のサイズ測らなくてもわかるんじゃない?お腹出てきたとか…」
「えっ!?」
茉莉が、隣の颯人を見た。
「あ、大丈夫。茉莉のお腹出てきたら、別れるから」
顔色を変えずに、颯人が淡々と言った。
「別れる前提?!ちょっ!颯人?!」
颯人の身体に、ガバッと茉莉が抱きついてくる。
「茉莉!絢斗さんの前で、何してんの!退かれるって」
颯人は慌てるが、百合はツラッと言う。
「大丈夫よ。絢さんには、ちゃんと2人は恋人同士だって教えてあるし」
「微笑ましいです。私の知り合いにも、お2人の様な恋人はいますが、色々と大変でして…」
(大切な人、なんだ)
幸せになって欲しいのだと、絢斗の顔を見ればわかる。
「そういえば、これからの予定は?」
茉莉が聞いた。
「これからデート。ね、絢さん」
「百合が寂しがっているから、どうにか時間は作るようにしているんですけど…」
「いいの、仕事をしている絢さんは大好きよ」
「ありがとう」
目の前のラブラブな妹とその恋人に、茉莉はため息をついた。
「颯人が仕事してても、そう言えないな…俺は」
「茉莉、邪魔する時あるよね。見習って下さい」
茉莉がう"う"っと、うなだれる。
「そういえば!両思いおめでとう!!」
百合が、思い出したように言った。
「あ、あぁ」
「ありがとう!百合ちゃんが応援してくれたから、頑張れたよ」
「良かった~!こんなヘタレ兄を、捨てないであげてね」
「オイ…」
「うん、大事にさせていただきます」
「颯人!」
ギュッと抱きつく。
「ちょっと、だから…お客さんの前で!」
そういえば、と百合が聞いてきた。
「お昼、ここら辺で食べる所ってある?」
「ここら辺…」
「何なら、食堂は?ウチの『松竹梅』は美味しいぞ」
「お三方は変わりないですか?」
絢斗が言う。
「知ってるの?」
「ここの卒業生なので」
「絢さん!学生の時、お付きあいは?!」
「してないよ。今の会社に入るために、猛勉強していたから。つまらない学生生活を送っていたよ」
「つまらなくて、良かった~!絢さん、誰かのお手付きかと…」
「お手付き?」
絢斗がわからずに百合に聞いたが、百合は答えなかった。
「絢さん、ノーマルで良かった~」
お手付きには触れずに、百合は1人安堵していた。
茉莉はハッと気がつき、食堂に促す。
「食堂に行こうか?」
「行こ行こ!」
4人で食堂に向かった。
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