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後日談 14
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てっきり、茉莉の右手薬指に着けるものだと思っていたが違った。
茉莉は身体を颯人の背中を抱き締めるように、後ろからピッタリとふっついてきた。
「ちょっ、茉莉…!」
そして、茉莉の右手で颯人の右手を持ち上げて左手で指輪を持ち、つけられた。
「んー、これじゃないな。颯人に似合う指輪は…」
次の指輪をつけようと、取ってはつけるを繰り返す。
颯人は、その状況にいたたまれなくなった。
目の前の店員は、目をキラキラさせ頬を赤らめてこちらを見ている。
茉莉は茉莉でこれじゃない、こっちは颯人に似合うと、ずっと嬉しそうに颯人の指に指輪の装着を楽しんでいる。
しまいに、別の客が2組来て、マネージャーらしき人の他に店員も増えてしまった。
(この状態は、公式処刑されているみたいだ…)
みんなが茉莉と颯人の姿を見て、頬を赤らめているのが見える。
茉莉は美形だから、みんなが見るのも頷けるけど…。
颯人は茉莉のように社交的ではないので、慣れていない。
今の状況は、ひどく恥ずかしい。
この場から早く逃げたい。
(なぜ、茉莉は気にしないんだよ…)
目立つ外見で、日々見られているから気にしないのか…。
外国慣れしている恋人の、爪の垢でも煎じないとならないとかと、真剣に考えてしまった。
「…颯人の指に似合うのは、これぐらいかな」
満足している恋人の声に、ハッと意識を戻した。
「あとは、颯人の作業に邪魔にならないのを選んで…」
「…これ、指にするの?」
「しないの!?チェーンでネックレスにするとか、言わないよな!」
(するのか…やっぱり)
茉莉と同じエンゲージリングをしている自分を、想像してみる。
「…ペアリングになるから、茉莉も似合わないと嫌だ」
「颯人!」
茉莉が、せっかく自分に似合う指輪を選んだのだ。
覚悟を決めて、颯人も真剣に考えようとした。
(そうした方が、早くお店から出れる!)
とにかく、この恥ずかしい状況を何としても早く切り上げたかった。
「じゃあ、今度は颯人が俺の指に指輪をはめてみて」
茉莉がニコッと笑う。
そして、右手を颯人の前に差し出した。
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