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☆クリスマス☆ 1
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茉莉のスマホに電話が入った。
番号を見て、顔が綻んだ。
「要です」
「先日はエンゲージリングをお買い上げ頂き誠にありがとうございます。指輪が出来上がりましたので、御来店のほどお待ちしております。」
「ありがとうございます!早速、お伺いいたします」
クリスマス前に出来ると言っていたエンゲージリングが、出来上がった。
(クリスマスの時に、颯人に渡せられる!)
そのつもりで買ったが、ハッと気づく。
(シチュエーション…考えていなかった。まずい!どこで渡せばいいんだ?!)
頭を抱えてしまった。
前までは"クリスマス"としか思っていなかったが、学生は"冬休み"だ。
颯人は冬休み入ったら、すぐに実家に帰っているかもしれない。
一体どこで、人生に1回きりのエンゲージリングをどのタイミングで渡せばいいのか…。
「とにかく、颯人の予定を聞かないと…」
茉莉は慌てて部屋を出た。
教室近くの廊下で、声が聞こえる。
「颯人、茉莉ちゃんにそろそろ飽きてこない?」
裕汰が颯人に聞いている。
「…飽きない。裕汰しつこい」
ツンと颯人は返事をするが、裕汰は気にしていない。
むしろ、ツンとされることに喜んでいる。
「裕汰!お前、しつこいぞ!!」
茉莉は慌てて、颯人と裕汰の間に入った。
「邪魔されたなぁ」
やれやれ、と裕汰が言う。
「違うっ!お前が邪魔してんだろ!!」
低レベルな争いに、茉莉の背中から颯人がクスッと笑った。
「俺は茉莉に、ちゃんと愛されているから」
「だ~っ!聞きたくない!」
裕汰が悲鳴を上げた。
「残念だったな」
シッシッと、あしらうように裕汰に手を振る。
トボトボと去る裕汰を、怪訝な顔で見た。
「油断も隙もないな…」
「どうしたの?この時間にいるのは、珍しいね」
「あ、あぁ」
恋人の顔を見ると、さっきの裕汰の事が気にならなくなる。
デレ~ッと顔が綻んだ。
「茉莉、だらしない」
颯人に小突かれるが、痛くもない。
「クリスマスは実家に帰っているのか、聞いてなかったから。なんなら迎えに行くし…」
「クリスマスは茉莉と過ごしたかったから、その後に帰ろうとしていたけど?」
「っ!颯人!」
歓喜で抱きつこうとしたら、かわされた。
「ちょっと!ここ、廊下」
「だって~、感動したから」
「いいって!オーバーリアクションは」
「いやいや!愛情表現は、伝えないと!」
「…これ以上したら、当分の間…無しだから」
「な、無しって!」
恋人になってからは一応、颯人とのセックスは週2~3回ぐらいと、お互い我慢しないでしようと決めていた。
「あ、愁に呼ばれてるんだった!じゃあね」
「颯人!」
茉莉の声は虚しく、颯人に振り返ってもらえなかった。
(一応、デートコースは事前に教えてるから、大丈夫だよな…)
最近ちょっとつれない恋人の後ろ姿を、茉莉は見つめていた。
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