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~奏side~“オセオセ詐欺”
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唐突だが俺は今非常に困っている。
俺は今2年生の棟と3年生の棟の境界を
行ったり来たりと、さ迷っているのだ。
……3年生の教室まで行って良いのだろうか?
……分からん。
そもそもなぜ俺がこんなことをしているのかって?
事の発端はホームルームが終えた教室で起こった。
あの時俺は大切な約束のため足早にドアへ向かっていた。
教卓の前を通りすぎた辺りで先生に呼び止められ、
「藤咲くんあなた大丈夫なの?
その…スケジュール的に……」
意味の分からないことを問いかけられた。
一応、一部の先生方は俺が芸能人だと、
知らされているらしい。
それが誰かは知らされていないらしいが。
「部活に入ってくれるのは嬉しいけど、
大変じゃないかしら…………?」
俺、耳鼻科いった方がいいかな……?
「部活、ですか?」
「男子バスケ部でしょ?
あら…自分で決めた事じゃないの?」
「えぇ…まぁ…」
曖昧な受け答えしかできない。
全く、笑えない冗談だよ。行き先変更だ。
どういう事か説明してもらおうじゃないか。
ずり落ちたバックを肩に掛け直し思考を巡らせる。
この場合は赤司くんか?
でもキャプテンは虹村先輩だよな…。
悩んだ結果虹村先輩の所に行くことにした。
3年生の棟について重大なことに気づいた。
今更だけど虹村先輩って何組だ?
まずそもそも勝手に3年生の棟に入っていいのか?
……これで何故俺が3年生と2年生の棟の境界で
うろうろしていたのか理解して頂けただろうか。
誰かに聞こうにも人一人いないし……。
「ん?お前は確か……」
突然話しかけられビックリして振り向くと、
見知った人物が俺の背後に立っていた。
「こんにちは虹村先輩」
「おう。お前は確か藤咲だったよな。
赤司が妙に気に入ってた」
「はいそうです。…別に気に入られてないです。
直接お話しするのは初めてですね」
「そうだな。どうした?何か用か?」
「あの…なんで俺はバスケ部なんですか?」
「は?」
あっ混乱しすぎて文脈おかしくなっちゃった。
「いえ、何故俺はバスケ部に
入部してることになっているんですか?」
「……?入部届け貰ったぞ?」
「…俺書いてません」
「…?印鑑もあったぞ?」
え、俺押してな…あ、押したわ…。
「あれ入部届けだったんですね。
『ここに印鑑を押してくれ』って
言われたので押してしまいました」
「赤司……。はぁ…全くお前もお前だぞ」
頭を抱え飽きれ果てている虹村さん。
……返す言葉もございません。
「いつか詐欺に遭うぞ」
「もうあってますよ、これ詐欺に近いですし。
印鑑を押すことはよくあるのでつい癖で…」
「赤司も赤司だが…これからは気を付けろよ」
「はい…」
「柊と続いて藤咲もか…」
「…柊君もですか?
彼絶対入らないとまで言ってたのに…」
「あー。こっちも赤司が勝手に…」
何て無謀なことを…まぁ、赤司くんなら大丈夫か?
「とりあえず赤司のところに行くか。
生徒会室だろうな多分」
虹村先輩の隣に並んで歩き出す。
隣に並んだ彼は何だかすごく大きく感じた。
お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、
なんて、思ったりしたりね。
「俺毎日は来れないんと思うんですけど
それでも大丈夫なんですか?
多分来れない日の方が多いと思います…」
「来れない日の方が多い!?
お前引きこもりなのか!?」
「え、なんでそうなるんですか…」
「じゃあサボりか!?」
虹村先輩の中の俺の認識って……。
「違いますって…。
芸能人のマネージャーやってるんですよ。」
「そ、そうか」
生徒会室らしき扉が見えてきた。
しかしドアは開けっぱなしである。
「で?どういう事か説明してもらうよ?」
柊くんの声が聞こえてきた。
ここまで聞こえるってどんだけ大声で話してんの…。
「何のことかな」
あー、なんか俺までイライラしてきたよ。
そう思ったときにはもう床を蹴ってきた。
後ろで虹村先輩が何か呟いたが、
俺の耳に届くことはなかった。
「赤司くん!!」
そう彼の名を叫ぶと少し驚いたのか柊くんが振り返る。
当の本人である赤司くんは笑みを浮かべ顔を向ける。
「なんで俺がバスケ部になってんの!?」
「何故って押しただろ?自分で」
「確かに押したけど…でもあれ詐欺だろ!!」
「俺も印鑑があったから入部してるんだよね?
俺、押してないけど。どういう事かな」
「机の上にあっ「たわけないよね?」」
「柊の保管場所ぐらいすぐ分かったよ」
…他人の印鑑の場所がですか。
「他の人から何も言われなかったの?」
「特に何も、挨拶されたぐらいかな?」
……職権の濫用だ。
「そういえば黄瀬に話しかけられたな。
書類に印鑑を押してくれと頼んだら
教室にあるから押しといてくれと
言われたと言ったら納得したのか
女の子と去っていったよ。」
黄瀬お前興味なかったな。
「俺が押しといてなんて言うはずないじゃん。
バカなの黄瀬くんは」
「うんバカだと思う」
「そういう藤咲もオセオセ詐欺に引っ掛かったがな」
「う…」
虹村先輩に痛いところをつかれ返す言葉もない。
「というわけで藤咲、柊部活だ。
着替えて10分後体育館に集合。
この前と同様、一軍の体育館だ。」
まてまて、まさか俺また同じ目に…?
いやいや!それ以前に今日は無理だ!
「あの…俺この後仕事が「ないよね
奏くん?(ユキさんに)聞いてるよ?」」
余計なことを……。
「俺この後用事あるんでッッ!!」
ガシッ。俺腕がっちりホールドされてね?
「さ、行くよー奏くん」
「え嫌d 「つき「わかったよ!!」
今絶対月神って言おうとしただろう!!
「分かってるならいいんだよー」
クスクスと笑みをこぼしやがって……。
だってヒトゴトですもんねー。
「赤司くん用事があるので早退させてください」
「あぁ分かった」
ストレッチだけで帰ろうかな…。
「ストレッチだけで帰さないぞ。藤咲」
なんでもお見通しってわけですか。
あぁ…無常だ。
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