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~緑間side~“は、破廉恥なのだよ!!”
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俺はラッキーアイテムになりそうな物を調達するために、家とは逆方向の店へ行くことにした。
いつ何時たるときも準備を欠かさない、それが人事を尽すということなのだよ。
しかし今日の練習は集中力を欠いてしまったな。
人のせいにするのは忍びないが藤咲のせいだ。
運動センスの欠片もない彼だが、何気ない動きでも視線が彼に集中する。
彼の身体の柔軟性は誰も右に立つものはいないだろう。
しかし運動神経センスともに壊滅的なため、いつも周りがハラハラと彼の動きを見ているのだ。
怪我をしそうな危なっかしさ、といえば良いだろうか。
練習を中止してまで皆が彼に注目する。
練習しても目線が散り、気はそぞろになる。
俺も例にもれずシュートを乱してしまった。
練習には真摯に取り組み最善の努「緑間っちー‼」
……最善の努力をしな「ちょっと緑間っちー⁉」
振り返り見ると手を大きく振りながら走ってくる黄瀬の姿があった。
なんなのだよ。
あいつには人の目が気にならないのか
そして俺の隣まで走って来た。
「こっちから帰るなんて珍しいっスね緑間っち。俺も一緒帰っていいっスか?」
…それは事前に言っておくセリフなのだよ。
聞いておいて一緒に歩き出すな。
返事をするまでもなく一緒に帰る気らしい。
はぁ…全く迷惑な。
黄瀬と一緒に歩くのが嫌なのは、単に馬が合わないからではない。
少し歩くと、
「あ、モデルの黄瀬くんだ!ラッキー!今から一緒にお茶でもしない?」
……これだ。これが嫌なのだよ。何より。
女だけでなくギャラリーが必要以上に増えるからだ。
鬱陶しい。目障りなのだよ、品のない女など。
「あーごめんね。先約があるんっスよー」
黄瀬はそう言ってあしらおうとしている。
この喧騒に巻き込まれぬよう端に避難する。
そして現実から目を背けるように遠くを見る。
するとふと向かい側のマジバに視線が吸い込まれた。
果たして偶然か、必然か。
ある窓側の1席に目を奪われた。
「藤咲…?」
「え?藤咲クンっスか?どこ?」
女を説得し終わったのか黄瀬が近寄ってきた。
「…あそこなのだよ、マジバの窓際の席」
部活を早退した藤咲は年上の品のよさそうな女性と談笑していた。
にやにやとした笑みを浮かべた黄瀬が問いかけてきた。
「気になるんスか?」
「なっ⁉べ、別に。お前がだろう」
「なんで俺が男に興味を持たないといけないんスか。まぁ、でも隣にいる女性は結構好みっスね。会話、聞いてみる?」
「だ、だめに決まっているだろう‼そんなこと‼」
「強情っスね〜緑間っち。そんなんだからカノジョできないんっスよ?緑間っちモテるのに。」
ふん。余計なお世話だ。
「嫌ぁ!奏と住むのー‼」
「もー、わがまま行ってないで帰るよ?ほら送っていくから」
「「ッッ!?」」
思わず電柱の影に隠れてしまった。
む、なぜ隠れる必要がある?
これではなにか悪い事をしたみたいではないか‼
「それに一緒に住んだら俺の身が持たないよ」
「もぅ!奏ったら可愛いんだから〜!」
そういって彼女は奏に思いっきり抱きついた。
…街中で堂々か。仲が良いのだな。
まぁ当たり前か。
「あ、ネクタイ乱れちゃったわね。 ……よし、できた」
………バカップルなのだよ。
「ありがとう響「ふふ!スキあり」」
ネクタイを引っ張って頬に口づけを落とした。
「うわぁ藤咲クンやり手っスねー。年上のお姉様となんて。」
「は、は、破廉恥なのだよ‼街中でなど‼」
「破廉恥って…。でもしっかり見てるじゃないっスかー」
藤咲は耳まで真っ赤に染めて涙目で本日一の爆弾を投下した。
「ちょっ!?響!やめてって言ってるでしょ!?いつまでも子供扱いしないでって!!」
顔を真っ赤にして吠えるようにかみつく藤咲。
自分が凄いことを言っている自覚はないのかあいつは。
寄り添って去っていく2人の姿にあの日の夕方の残像が重なった。
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