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~月神side~“タチ悪いよねホント嫌になるよ”
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――――― 30分後 ―――――
や、やっと……………やっと、終わった。
写真を撮られると魂を抜かれるって真実だと思う。
酔ってもいないのに千鳥足で楽屋に戻る。
“ 月神 櫁稀・瑞稀 様 ”と書かれたプレートを一瞥してなかに入る。
中に入ると机の上に大好きな名菓が置いてあった。
ご丁寧に薄紫の可愛いバラの花束付きだ。
毎日ある撮影で関係者が花束を差し入れしてくれるから、俺の家は花だらけだ。
嬉しいのだが、多すぎるため置き場に困る。
置き場所が無くなってきて、ついにバスルームにまで置いてしまった。
おかげさまで俺の部屋はカラフルに彩られている。
椅子にドカッと座ると同時に誰かが来たようだ。
って、俺櫁稀の格好なのに股開いて……!!
ユキさんにはしたないって怒られるな。
「はい。どうぞー。」
「失礼します。」
「あっ、柊さんお疲れ様です!!今日はありがとうございました!!」
「こちらこそ。月神さんってカメラマンの競争率高いから撮れて嬉しかったです。」
「えぇーそんなことないですよぉ~。」
我ながら思う。あざとい、あざとすぎる。
これでキャラとして成り立つって世も末だな……。
「結構コッチの業界で有名なことですよ。」
久々のOFFだから早く帰ってくださらないかな。
「ところで月神さん。月神さんはおは朝って知ってます?」
「おは朝って…朝の番組…でしたっけ?一応名前だけ。」
なぜ急におは朝??出演の依頼?……まさかね。
もしや……ッッ!!新手の情報調査か?
「そうですか。あぁそれと、一昨日の蟹座のラッキーアイテム何か知ってます?」
ラッキーアイテム??何でまたいきなり………。
確か緑間君が蟹座って言ってたはず……。
「?アロマキャンドル………ですよね。」
「ふふっ……………。」
「ど、どうしたんですか?私そろそろ次の仕事が……。」
仕事なんて無いけど。まだ帰んないの?
「こんなとこで何やってるの?……藤咲君?」
ッッ!?い、いきなりきたな。なぜバレた??
しかも、あえて本名セレクト。
え?ぇ?俺なんかやらかした?
「!?藤咲さん?誰ですか?もしかしてこの部屋にいらっしゃってるんですか?でも聞いたことのないスタッフさんですねぇ。」
天然キャラってこういうとき便利だよねー。
「クスクス。俺さ、差し入れ持ってきたときに見ちゃったんだよね。藤咲君が今持ってるバックの中身。藤咲奏って学生証と帝光中の2年の教科書。それだけで十分言い逃れできないし、さっき答えてもらったアロマキャンドル。確かに今日の蟹座のラッキーアイテムだったよ。でもさ、おは朝知らないのに、ラッキーアイテム知ってるのは変だよね?君がラッキーアイテムで思い浮かべたのは、帝光中学校2年、緑間真太郎君のこと。違う?」
えらい、いきいきしてるねぇー。
カメラマンより探偵の方があってんじゃない?
「そ、それは…………えっと………。」
しかも、正論で精神的な攻撃を的確にしてくる。
タチ悪いよねホント。嫌になるよ。
「図星じゃん。ってことで藤咲君、何やってるの?」
「………………………………………。」
長い沈黙の末、俺は自分の頭に手を伸ばした。
「……そうだよ。俺は藤咲奏だよ。」
そういいながら頭のウィッグを取った。
カツラじゃないからな。ウィッグだぞ?そこんとこ頼むよ。業界の人間はカツラって言われるの気にしてるから。
※奏だけの見解です。
あぁ、くそッッ。もう。
女物のメイクに純白のワンピースを着ているという不思議な現実。
俺の大好きな色、藤色の髪が衣装のアクセントである、腰の位置の薄紫のリボンと共に揺れる。
テレビ局とはいえ、男が女装して楽屋に突っ立ってたら即通報されるよな。
奏、いや……櫁稀だからなせる技なのか……?
「やっぱりね。君は面白いね。……よし。面白いの、大好きだから奏君って呼んであげる。改めてよろしくね、奏君。……いや、月神さん。」
…………………憎たらしいったらありゃしない。
下から覗き込むようにしてキッと睨む。
俺だって上から見下したいけどさっ!!
身長が足りないんだよッッ!!………身長が……。
何で5㎝のヒールはいてるのに柊さんに見下ろされなきゃならないのさ…………。
柊さん がはいているスニーカーで身長が底上げされてるとは到底思えない。
…………だから俺は女装しても違和感ないのか?
どうすんだよ、何がなんでも本名、性別だけは、絶対バレるなって言われてんだけど?
勢いに任せて引っ張ったウィッグのせいで髪抜けたし…………痛い…。
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