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~月神side~“ミュージック・スタート♪”
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※前の続きです。
ステージの袖に行くとユキに大爆笑された。
「似合うわよ瑞稀。…櫁稀と呼ぶべきかしら?」
違和感仕事しろよ。似合ってたまるか。
ユキが珍しくお腹を押さえてケラケラ笑っていた。
まぁ、ユキが楽しそうだからいいか。
ここのところずっと忙しかったしな。
薙十に向かってアイコンタクトをとる。
『さぁ~てさて、
月神さんの準備が整ったみたいだね。
みんな待ってるから早く出ておいでよー』
覚悟を決めるしかないな……。
ステージの中央まで渋々歩いていくと
薙十が涙を浮かべて、大爆笑している。
『おい薙十!お前俺に恨みでもあんのか ! ? 』
『えぇーないよ?あるわけないじゃーん』
薙十に構うだけ無駄だ。喋る地蔵だと思おう。
『こんな空気私が変えてあげる!!
俺の全てで酔わせてやるよ!
見とれすぎてコール忘れんなよ!』
われんばかりの歓声を聞いて普通の姿で
歌いたかったなと今更つくづく思った。
『アハハ!今どっちモード?両方いたんだけど!
じゃあ、ヘリウムガス持ってきてー』
するとヘリウムガスを持ったユキさんが出てきた。
「フフッ…!頑張ってね、…月神さん♪」
耳元でこそっと言ってきた。
………面白がってんな、こいつ。
後ろを向いてガスを吸い、無言でユキに渡した。
痛いくらいの静寂の中、会場は俺の言葉を
目を輝かせて待っている。
主役が全く喋ろうとせず司会がしびれを切らす。
『月神さーん早く喋ってー。
君が喋んないとイベントが進まない』
『……… ゙死゙に゙だい゙』
あぁ……ほら会場中が大爆笑じゃん。
なんの罰ゲームだよ……。
しかも主役が死にたいなんてどんなLIVEだよ。
『ほらほら!さっきのやつ言いなよ!
空気変えるんでしょ?』
『……゙ごん゙な゙空゙気゙私゙が変゙え゙であ゙げる゙!!
゙俺゙の゙全゙でで酔゙わ゙ぜでや゙る゙よ゙!
゙見゙どれ゙ずぎでゴー゙ル゙忘゙れ゙な゙よ゙!!』
「くっ…あはははっ‼おっかしーい!」
……穴に入りたい。
『んーじゃあ、皆暖まったところでいこうか
ミュージック・スタート♪』
やらせといて無視かよこの野郎ッッ!!
『゙何゙でお゙前゙がじぎっ゙でん゙だよ゙!゙』
場内の明かりが消えたのを見計らい
センターでポージングをすると後ろに
桃井さんと黄瀬くんが入ってきた。
なるほど3人で踊らせるって魂胆か。
やられっぱなしも性に合わないから
なにかこっちから仕掛けるか。
『♪ (Nobody knows) さぁ、君はどう舞う
強く気高く 咲き誇れるなら (I know)
俺は最上級の夢を 捧げよう
(“ Chances are only once ”)
全身でスリルを感じて
透明になるぐらいの熱情で
誰にも真似できない“ LOVE GAME ” ♪』
間奏で桃井さんの手を取り軽く腰に手を添え、
軽くターンさせセンターで踊らせる。
だってこの曲の“ 君 ”は芯の強いお姫様だからね。
「上手上手、そのまま可愛く踊ってて?」
ターンさせるときにそう耳打ちをした。
さて、ダンスに集中しようかと思ったら、
黄瀬くんが仕掛けてきた。
対称に掛け合いのダンスか。
折角だし黄瀬くんともポジション変わるか。
俺が軽いキャットウォークで歩くと
黄瀬くんからまぁまぁのウォークで返された。
無性にドヤ顔にムカついたので、
本物をお見舞いし、すれ違い際に黄瀬君の
身体のラインをなぞってやった。
『さぁ、もっと高く翔べ(Are you OK?) 』
ファンに煽りを入れると、悲鳴が返ってきた。
まぁ、ヘリウムガスで格好つかないけどな笑笑。
『 ♪ ( You'll want to touch more freely?)
思う存分楽しめたかい?
俺は時々怖くなる
キミが手の届かない彼方まで
翔んで行ってしまいそうで
まばゆい光を放つキミ
行くな、なんて俺らしくもない ♪ 』
あぁ……やっと声戻ってきたなぁ。
しかし喜んでいる暇は全くない。
間奏の間にセンターへ戻らなくてはならない。
さて、どうしようかな?
黄瀬くんに近づいて首に手を回し肩を組む。
突然のことに固まる2人。
『俺と、彼…………どっちを選ぶ?』
「えっ?それは…」
“ キミ ”が頬を真っ赤に染めて、
目を潤ませて困っている。
『選択肢を与えるまでも無かったな』
彼女を抱き上げると小さく悲鳴が上がった。
そしてわざわさ後ろに用意されたであろう、
1人掛け用の漆黒のソファーの肘掛けに座らせる。
彼も歩いてきてソファーに寄り掛かってくれた。
そして俺は足をくんで深々とソファーに腰かける。
完成された動きにファンから悲鳴が上がる。
『♪ 俺の持てる全てを駆使して
キミの待つ高みへ迎えに行こう
高みに登り詰めた女王( キミ )
女王( キミ )の隣に立つことを
許されるのは王(俺)だけだ
さぁ、 restart だ ♪』
立ち上がりセンターに立って踊る。
『♪ (Nobody knows) さぁ、君はど う舞う
強く気高く 咲き誇れるなら (I know)
俺は最上級の夢を 捧げよう
(“ Chances are only once ”)
全身でスリルを感じて
透明になるぐらいの熱情で
誰にも真似できない“ LOVE GAME ” ♪』
最後の LOVE GAME で一瞬だけ明かりを落とし、
正装である瑞稀にはや着替えする。
割れんばかりの歓声が場内を包み込む。
大成功のサインだな。
『二人ともありがとう。
えっと桃井さん、だったよね?
ダンス全部覚えててくれて嬉しいよ。
上手だったよ、ありがとう』
「 ッッ!! ありがとうございます ! ! 」
『盛り上げてくれた2人に拍手 ! !
みんなも可愛い声援嬉しかったよ!
いつもありがとな!』
わぁー!!キャー!!という声でペンライトが揺れる。
「瑞稀っちー!!」
『 ッッ!?瑞稀っち!?』
なん!?えっ?行きなり呼び方変わった!?
『黄瀬くんが認めた人は~っち呼びになりまーす』
えっ!?そうなの??ってか、柊さん忘れてた。
「演出もダンスも歌もスゴいっス!!!
特に演出!!勉強になるっス!!!」
『そ、それはどーもありがとう?』
『以上“月神2人を貴方好みに!!”でした!!』
『またあとでな!』
柊さんが二人を客席に連れ帰っている間に、
客席に手を振りながらバックステージに戻る。
「……つ、づがれだぁ、ユキ、水……」
苦笑しながら水と冷えタオルを渡される。
「あぁ……キモチー」
さぁ、後半戦も頑張りますか~。
まだこれが恒例のコーナーとなることを
知っているのは柊さんのみであった。
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