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~月神side~“私が夜、君が月”
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※前の続きです。
イントロが終わりAメロを歌い始める。
『♪ 天高く昇る月
届かないと分かっていても
手を伸ばしてしまうのは
何故でしょう ♪』
櫁稀が前に出てワンフレーズを歌い上げる。
『♪ そんなキミを後ろから抱き寄せる
“ どうかした? ”
うわべだけの甘い言葉を囁いて ♪』
わぁ!歌詞とイメージピッタリ!!
相手知らなかったから心配だったんだよね。
作詞するのに相手知らないのって話なんだけど…。
『♪ 深い深い闇 ♪』
『♪ 隠れ行く月 ♪』
『♪ 繰り返される舞踏会 ♪』
『♪ 永遠に続く誘惑の罠 ♪』
『『♪ 狂喜乱舞に踊れ
恋という名の微熱で ♪』』
声が重なっても邪魔しない‼!!
声の相性って本当にあるんだなぁ。
『♪ ただ貴方といたいだけなのに
欺き合い寄り添うことは許されない
今宵一夜限り 嘘偽りないこの慕情を
心行くまでさらけ出し
霞ゆく世界の中で唱いましょう ♪』
一番のサビが終わり間奏に入る。
俺でさえ状況がまだよく分かってないのに、
皆よくついてこれるよな。
すると突然背後にスクリーンが降りてきたので
ビックリしながら息をのんだ。
踊りながら叫ぶ、なんて恥態晒さなくて良かった。
一応、何に使うの?って人のために説明しよう!
スクリーンの両端からそれぞれ入って歩き出し、
暗くしたステージで二人が歩いている映像を流し、
タイミングを見計らってスクリーンを上げると、
あら不思議!!着替えた素振りがないのに、
櫁稀から瑞稀に入れ替わりましたー!!って寸法さ。
しかし、上手くいくのか?
なんせ結成して1分半程しか経ってない
出来立てほやほやのユニットですから。
しかもその上リハなしのぶっつけ本番ですから。
櫁稀は右から、裕は左からスクリーンに入る。
すれ違い際に櫁稀が裕の首もとを引き寄せ、
耳打ちする映像と共にセリフが流れる。
あー、我ながら恥ずかしいぐらいのイイ声。
と、そこで裕から爆弾発言が投下された。
「お疲れ様藤咲く……じゃなかった、櫁稀さん」
「ッッ!?」
あ、ヤバイすれ違ったから着替えなきゃ!!
………じゃなくて!!なんで俺のこと!?
俺この姿ではあまり会ったことないよね!?
はぁ!?俺そんな分かりやすい!?んなバカな…!!
もしや……薙十か!!アイツなのか!?
俺事務所にバレるなって言われてるんだけど…。
どうしよう、どんどんバレてるよ……。
あーもういいや!!とりあえずライブに集中!!
散乱する衣服と靴をささっとスタッフが回収し、
ポージングしたのを確認してスクリーンが上がる。
するとたちまち観客はハイテンションに。
何故ならほとんどその姿を披露することない、
“柚”(ゆう)になったからだ。
………思うんだが、千才の姿でよくないか?
それはさておき今日来れた人はラッキーだったね。
裕の予定が会わなくて初日のみ参戦だから。
そしていろいろ予想外のことがあったため、
本体の奏がキャパーオーバになり
いつの間にかCメロに差し掛かろうとしていた。
『そんな甘いワルツで満足か?』
『貴方に言われたくないわ
物足りないんでしょう?』
『ふ…キミが、だろ?』
『あら理想を押しつけないで貰えるかしら?』
セリフを仕掛けるとのってきてくれた。
ずっと前からユニット組んでたみたいに相性がいい。
まぁ、ありふれた表現でしかないが。
『♪ ただ貴方といたいだけなのに
欺き合い寄り添うことは許されない
今宵一夜限り
嘘偽りないこの慕情を
心行くまでさらけ出し
霞ゆく世界の中で唱いましょう
貴方の隣に安心して立てるまで ♪』
最後のサビを歌い上げ、柚が瑞稀に背中を預けるように立つ。
曲の余韻に浸っているとみんな思い思いに
歓声を上げたりサイリュームを振ってくれた。
『はい、というわけでユニットお披露目でしたー』
『僕達の新曲、楽しんでくれたかな?』
『実はユニットの話聞いたの2日前で、
しかも、相手知らされなくて困ったんだよね。』
うん、びっくりするよね。分かるよ。
『相手も知らずによく曲作れたなって思うよ。
もうユニットの話流れてたと思ってたよ。』
『スペシャルゲストとして登場する予定だったんだ。驚いた?』
『当たり前だろ…真面目にユニット曲を
どう踊って歌いこなすかイントロのとき、
ずっと必死に考えてたんだぞ?』
『ふふ…っ!ごめんね』
『そういえばユニット名すら決まってないな?』
『そうだったね。んー私が夜で君が月。
“Night Moon”は?』
『“Night Moon”か、良いんじゃないか?』
『でしょ?これからが楽しみだね』
『あぁ、そうだな』
こうしてユニット名以前に結成すら怪しかった
ユニットも無事結成しお披露目ライブが終わった。
この勢いのまま残りの2曲を歌い上げ、
俺にとって驚きの連続だったライブが幕を閉じた。
裏に戻ってお世話になったスタッフ全体に挨拶し、
記念写真を撮ってその場をあとにした。
驚きの連続を作った元凶に会いに行くために。
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