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財布ちゃん (不良×平凡)
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「…ない…ない、ない、ない…
…ない!!!!」
ポケット、カバン、靴の裏、どこさがしても見当たらない!!
俺の財布ぅうううううううう
朝、寝坊して急いでたからどっかで落としちゃったのか?!!
俺の財産んんんんんんんん
友達と売店にきてから財布がないことに気づいた。今日は弁当じゃないから多めにお金をいれてたのに!
教室入ったときはあったからおそらく学校のどっかに落としたんだろう。
どうしよう。職員室とかに誰か届けてくれないかな。頼む届け!!!
一応職員室に行こう。なかったら諦めて素直に母上からお叱りをもらおう。よし。
心臓バクバクで職員室に向かい、担任を呼んだ。
頼む財布!!心の中で何度願ったことか…
「いや、届いてないけど。」
先生の声がすごく遠く聞こえた。
…俺の願いは神様に届かなかったようだ。
ぼてぼてと歩いてきた道を戻った。
もう今日のテンションがた落ちだわ…
ブルーな気持ちをだだ漏れにしてると
前から複数の声が聞こえた。
みてみると、この学校で有名のグループの人達だった。
しかもそれは不良。
不良っていうより族に入ってるっていう噂がたっている。
みんなはこの人達と関わろうとはしない。
関わったらいいことなさそうだし怖い。
最悪。いま来た道戻ろうかな。
うん、戻ろう。肩ぶつかって、んだゴラァッ状況になったら俺死んじゃう。リンチされるきっと。
くるりと彼らに背中をみせ、再び職員室に向かおうとした。
「おい、お前」
あ、誰か声かけられちゃった?
うひゃーお気の毒に。
来た道戻ってよかった。
「お前だよお前。鈴木治(すずきおさむ)」
あれ、おかしいな。
俺呼ばれてる。それとも同姓同名??
怖いけど、一応振り向いてみよう。違ったら即逃げよう。いや、俺だとしても逃げよう。
「…」
「…」
振り向いたら完全に集団が俺をみていた。
…終わった。
頭に浮かんだ言葉はそれだった。
逃げようとしたのに、俺ってば情けない…怖すぎて足が動かないヨ。
「お前よくも明夫(あきお)さんの事無視ったなコラ」
頭がピンク色の可愛い系美形が近づいてきた。
可愛い系なのに眉間にシワを寄せる顔は怖い。
ピンク頭の言ってた『明夫さん』とは
このグループのリーダー。この地域では有名な人だ。
綺麗に染めてる金色の髪に、恐ろしく整っている顔にスタイル抜群。喧嘩強いし、(噂では)族の総長を勤めてるらしい。芸能人でもこんな美形はいないと思う。
え?てことは、俺の名前呼んだのその人なの?
完璧に死亡フラグたってんじゃん。
俺なんかしたっけ?!
「鈴木治。」
色気のある声に呼ばれてハッとした。
また明夫さんが呼んだらしい。
明夫さんは俺に近づき、目の前に立った。
漂うやばいオーラに俺の体は震えた。
「…お前」
「っ!は、はい!」
なんか俺のこと睨んでる!!なんで?!怖いよおおお
「これお前のだろ」
明夫さんはごそごそとズボンのポケットに手をつっこんで、なにかを俺に見せた。
それは、俺が必死にさがしてた財布。
財布ちゃんん!!!!
よかった!無事だったんだね!本当によかった!
脳内でウキウキピョンピョンしてても、目の前には不良。
財布が無事でも中身はもうないと思う。
せっかくバイトで貯めたラストのお金なのに…。
「安心しろ。中は持ってってねぇよ」
俺の心を読んだかのように、俺を睨みながら言った。
あ…疑ってすみません。
不良なのに取らないんだ。お金に余裕あるのかな?それじゃあ返してくれるのかな?
「返して欲しいか?」
そう聞かれたので俺は即返事した。
「は、はい」
俺の返事を聞いた明夫さんはニヤっと笑い、「じゃあちょっとこっちこいよ」と階段上りながら言った。
……待って。
いま明夫さんが行こうとする場所ってお、屋上?
不良の溜まり場じゃないか!!!
俺リンチされちゃう?!
『金取ってないかわりにお前をサンドバックにする』的な?!
そんなの嫌だ。
抵抗しよう。俺は自分が可愛い。財布より自分を大事にする!!ごめん財布ちゃん!!
「あ、あのっ!」
「「ああ?」」
それしか発してないのに明夫さん以外複数の不良が振り向いた。
「なんでもないです」
逃げたら殺られる。
俺はそう確信したのだ。
階段のぼることがあんなにしんどいって感じたのは初めてだった。
屋上につけば、明夫さんはフェンスによっかかり、さっきまでいたピンク頭をはじめ、たくさんいた不良たちはいなかった。
つまり明夫さんと俺、2人っきり状態だった。
完璧の死亡フラグ。俺死んだ。
「鈴木治。」
また呼ばれる。
生きるのを諦めた俺は力なく明夫さんをみた。
きっとサンドバッグだ。
「俺はイライラしている。サンドバッグになれ」というんだろう。
「…俺と付き合え」
ほらな。サンドバッグ……
……え?
「俺と付き合え。鈴木治。」
一瞬思考回路は止まって、何が起こってるのかわからなかった。
聞き間違いだろう、そう思ったけど二回目で聞き間違ってなかった。そう思った。
どっちの付き合え?
恋愛の付き合え?それともパシリの付き合え?
…これはパシリだ。当たり前にパシリ。
付き合えって事は命令形だから、断ったらサンドバッグか、理解。
また言うけど、俺は自分が可愛いので断らず返事をした。
「はい…」
俺がそう言った瞬間、屋上のドアが勢いよく開き
次々と不良が入ってきては明夫さんを囲んだ。
「明夫さん!!よかったッスね!」
「俺最初っからわかってました!!断るはずないッスって!」
「俺感動して、涙止まらねぇッス」
「俺たち2人の事これから見守ります!!」
「総長、お幸せに!!!」
…どういうことだ。
俺をパシリにしてそんな喜ぶか?なんで泣いてる人いるの?
明夫さんもなんか嬉しそうに笑うし、どういうことだ!!
唖然する俺にさっきのピンク頭が寄ってきた。
「明夫さんの事よろしくな」
「…え?」
「あっさりオーケーするから、お前も明夫さんの事が好きだったんだな!」
「え?」
ピンク頭は俺の背中をぽんと叩き、明夫さんを囲んでる不良集団に加わった。
好き?は?
ていうか、俺の財布ちゃんは??
END
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続編書きたす!!!(願望
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