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準備が大体終わり、休憩に入った頃だった。一部の集団が盛り上がっていることに気づいた。
「前夜祭?」
「みたいだな」
その脇を通り過ぎようとした時、誰かが近づく足音が聞こえた。
「...サ、キさん?」
思わず振り返ってしまった。俺に声をかけて来たのは、ずっと会わないように避けて来てた有沢さんだった。
「あっ...あの」
何か言いたそうな顔をして俺に近づいて来た。李斗の姿を探すも、いなくて焦りが止まらなくなった。
(俺はどうしたらいい...?)
困っている俺を横目に有沢さんは深呼吸をしてから
「...ちゃんと、サキさんに謝りに来た」
しっかりと俺にまっすぐ目を向けて言ってきた。
(そんな素直で真剣な目で俺をみるなよ......)
「僕...サキさんの優しさに甘えて、サキさんの行為に漬け込んで...いっぱい、いっ...ぱい傷つけてごめんなさい」
深々と頭を下げると何も言えなくなる。
だって、謝らないといけないのは俺...なのに、
「謝らないといけないのは...有沢さんじゃなくて、俺ですよ?」
「えっ?」
「だって、俺...っ、有沢さんが落ち込んでて、泣いてるとこに、自分の好意を押し付けて...それで、」
涙が溢れそうになるのを耐えて、無理やり息を出すように言葉を続けた。
「毎日、一緒帰ったり...手繋いで、嬉しかった......幸せだった...でもそれは、自己満足でしかなくて...結局、有沢さんを、傷つけて...別れて.....」
「サキさ......ん」
「屋久土先輩と、付き合ってる...のわかってる!それでも...それでも......やっぱり、俺っ」
“好きなんです”
その言葉を口にする前に、有沢さんに抱きしめられていた。
有沢さんは静かに涙を流していた。
泣きたいのは俺なのに...
どうして、有沢さんが泣くんだよ......っ
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